遠い風近い風[畑澤聖悟]やがましねんが

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 職場では訛(なま)らないようにしている。生徒の前で話すときはなおさらだ。一般に教員は「ちゃんとしている」ことを要求される。だから敬語表現のない津軽弁は歳の近い同僚との雑談くらいにしか使えない。いつか芝居でメンデルの法則を津軽弁で説明する場面を書いたら役者が音を上げた。なぜだか知らないが、津軽弁は筋道を立てて論述するのが苦手なのだ。つまり授業ではとても使いづらい。

 ただ、月に何度か、わざと訛るべき場面がやってくる。全校集会などで「こっちも真剣なんだ」的なムードを醸し出したいときだ。「おまえたち、わかってるのか?」ではなく、「おめだぢ、わがっちゅーんずな?」である。裏表なく本音を語っているっぽく聞こえる。お白州で「その儀、しかと相違ないか?」とか言っていたお奉行様が「おうおう、黙って聞いてりゃあいい気になりやがってぇ!」といきなり伝法になったりするのと同じだ。遠山の金さん戦法である。

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