北斗星(6月26日付)

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 集落内で亡くなった人がいると住民たちが西国三十三所のご詠歌を唱える―。そんな慣習が県南の山あいに残っている。ご詠歌は不幸のあった家の親族が筆で書く習わし。過去に別の家で書いたものがお手本になる

▼先日、ご詠歌の書き写し役を頼まれた。集落で代々引き継がれてきたご詠歌を見直すと、誤字脱字があるのに気付いた。複製を繰り返すうち書き損じが生じたのだろう。原文を確かめ、修正して書き上げた。少しは供養になっただろうか

▼書き写しの誤りは直せば済む。だが感染症の世界となると厄介だ。新型コロナウイルスは遺伝情報をコピーして増殖する。その際に起きる複製ミスが「変異」と呼ばれる。2週間に1回ほどの確率で発生。その結果、感染力の強い変異株や重症化リスクの高い変異株が出現する

▼猛威を振るうインド株は「L452R」の変異を持つ。覚えにくいが、ちゃんと意味がある。ウイルスの突起を形成する多くのアミノ酸のうち452番目のアミノ酸がL(ロイシン)からR(アルギニン)に変化したことを示すという

▼国内のインド株感染者の割合は7月上旬にも英国株を上回るとみられる。英国株より感染力が強いので、感染スピードも上昇するはずだ

▼収束の切り札のワクチン接種が職場や大学でも始まった。マスクなしで過ごす日常が待ち遠しい。だが、流行が続く限りは変異も続く。ウイルスの生き残りに有利だと感染が拡大する。今はそのリスクと向き合う時だ。

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