社説:県北の地域交通 利用促進へ知恵絞ろう

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 通院や買い物の際の高齢者の足を確保しようと、県北の自治体は巡回バスや予約制乗り合いタクシーなど地域公共交通の運行に取り組んでいる。高齢化に伴い運転免許証を返納する人が増加する中、公共交通の役割は重要性を増している。利用の伸び悩みに苦心する自治体もあるが、住民を交えて利便性向上などに知恵を絞り、安心して暮らせる地域づくりにつなげたい。

 八峰町は今月、「道の駅みねはま」で民間路線バスに接続する巡回バスの試行運行を始めた。5ルートで運賃無料。9月まで試行して住民の声をルートや運行時間などに反映させ、10月以降も運行を続けたい考えだ。

 昨年11~12月の試行を基にルートを再編。町企画財政課は「開始1カ月弱だが、前回より乗客は増えている感触だ。5年後、10年後を見据え定着を図りたい」とする。利用しない人への調査などを通じて、一層の利用促進策を検討する。

 能代市は民間のバス路線や鉄道を補完して公共交通の空白地域をなくそうと、市街地を回る巡回バス(2ルート)、コミュニティーバス(4ルート)、予約制の乗り合いタクシー(5ルート)を運行している。

 市は昨年度運行を始めた南部地区の乗り合いタクシーで、人工知能(AI)を活用した最適経路設定などの実証実験を行っている。新技術の導入を含め、さまざまな手法にチャレンジすることが大切だ。利便性向上とコスト抑制を図り、持続可能な事業を追求してもらいたい。

 県警運転免許センターによると、免許証の自主返納者は増加傾向にあり、2017年以降毎年4千人台で推移。65歳以上が95%超を占めている。こうした高齢者の移動を支え、生活しやすい環境をいかに提供できるかが喫緊の課題になっている。

 地域公共交通の利用促進でヒントになりそうなのが三種町の取り組みだ。町内の拠点を結ぶ2ルートで巡回バス、8地域でふれあいバスを運行。特徴的なのはワゴン車を使ったふれあいバスで、地域ごとに住民団体が運行を担い、地域密着型で利用を伸ばしている。19年10月に運行を開始。20年10月~21年4月の乗車人数は全ての月で前年を上回り、4月は2369人で515人(27・8%)増加した。

 地域事情に通じたドライバーが乗客と緊密にコミュニケーションを取り、細かな要望などにも対応。利用者の安心感を高めているほか、地域の声を細かくすくい上げて運行ルートや時刻に反映させている。

 除排雪の共助組織などと同様、運行に住民が関わることで地域づくりの視点が強くなる。この活動を核に住民組織が育成されれば、他の地域課題の解決に取り組むことも可能だろう。

 運行形態などは個々の地域の事情によって異なることもあり得る。行政と住民が力を合わせ、各地域にとって最善の方法を探ってもらいたい。

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