社説:選択的夫婦別姓 法改正へ国会議論急げ

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 夫婦別姓を認めない民法などの規定が憲法違反かどうかを争った訴訟で、最高裁大法廷は2015年の判決を踏襲し「合憲」との判断を示した。一方、夫婦の姓に関する制度の在り方については「国会で議論、判断されるべきだ」と指摘。国会の取り組みを促した。

 法相の諮問機関・法制審議会は1996年に選択的夫婦別姓制度の導入を含む民法改正を答申。政府は民法改正案をまとめたが、自民党内の保守派の反対で提出を断念した。それ以来既に四半世紀。国会は法改正へ向けた議論を急ぐべきだ。

 憲法24条は「個人の尊厳と両性の本質的平等」をうたう。47年改正の民法は、結婚後は「夫または妻の氏を称する」と規定。現実には女性が姓を変えるのが大半という状況が続く。

 これに対し近年、夫婦が希望する場合は結婚後も姓を変えないことを認める選択的夫婦別姓制度を求める動きが広がっている。女性の社会参加の進展に伴い、結婚後の改姓でアイデンティティーを失うことへの違和感や、それまでの職業上の評価、信用を築き直さなければならないなどの不利益を訴える声は少なくない。姓を変えないために事実婚を選ぶカップルもある。選択的夫婦別姓なら、こうした問題は解決が期待できる。

 共同通信が2015年に行った世論調査では、選択的夫婦別姓に賛成と答えたのは51%だったが、今年3~4月の調査では60%に増加。制度を受け入れる機運は高まっていると言える。

 しかし最高裁は今回、「家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」として合憲の初判断を下した15年判決を踏襲しただけだった。さらに「社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても判断を変更すべきだとは認められない」とした。

 個人の自由な選択を認めず、世論の変化を顧みない判断が妥当だったのか疑問が残る。識者から「人権を守る最後のとりでとしての役割を放棄するに等しい」などの批判が上がったこともうなずける。

 政府は夫婦同姓の義務付けで生じる不便を軽減するため、旧姓の通称使用の拡大を進めている。しかし戸籍名しか認められない場合も残されており、不便が解消したわけではない。

 そもそも旧姓の通称使用を認めながら、戸籍上は同姓とすることにこだわる合理的な理由は何か。夫婦別姓では「家族の一体感が失われる」と懸念する向きもあるが、旧姓の通称使用ならそうした問題は生じなくなるとも思えない。むしろ二つの姓を使い分ける煩雑さ自体、個人の不利益であり、解消するべき課題だろう。

 日本も締結している女性差別撤廃条約に基づき、国連の委員会は「女性に夫の姓を強制している」として日本に民法改正を勧告していることも忘れてはならない。今こそ国会は改正に真剣に取り組むべきだ。

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