社説:県内の感染急拡大 若者も気を引き締めよ

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 若者を中心とした新型コロナウイルスの感染が県内で急拡大している。クラスター(感染者集団)が相次ぎ発生し、1日までの1週間の人口10万人当たり新規感染者数は全国でも上位にある。感染防止の意識を、いま一度高める必要がある。

 県内では5月下旬以降、1日の新規感染者が0~3人という日が3週間余り続いた。しかし6月下旬に入ると様相は一変し、24日以降はほぼ連日、2桁の陽性判明が続いている。秋田市の繁華街、川反・大町地区と市内のダンスイベントで二つのクラスターが発生したためで、感染者の多くは10、20代の若者だった。

 川反・大町地区関連のクラスターは、6月18日に最初の1人が確認されて以降、連日のように陽性判明が続いている。今月3日までに判明したのは38人で、多くが10、20代の若者。関連する飲食店は15店で、クラブやガールズバーなどスタッフによる接待を伴う店が複数含まれるという。

 さらに、秋田市中通のクラブで19日に開かれたダンスイベントでのクラスターが続いた。3日までに26人の陽性が判明。多くが市内の大学に通う学生だ。

 このダンスイベントは約5時間にわたり開かれ、大学生約70人を含め少なくとも80人が参加。会場には窓が一つしかなく換気が不十分な状態だった。マスク着用や検温、消毒などの感染対策がとられたが、参加者はフロアで肩が触れ合うほどの距離に立ち、踊る際にはマスクを外す場面もあったという。結果からすれば、感染対策は不十分だったと言わざるを得ない。

 新型コロナウイルスは感染力の強い変異株への置き換わりが全国的に進み、県内でも6月以降、抽出調査で検出されたウイルスの大部分は変異株だった。二つのクラスターの急拡大ぶりを見れば、感染力の強さは明らかだ。

 このような事態を受け、佐竹敬久知事は集団でのイベントや飲食を当面控えるよう県民に呼び掛け、首都圏との往来についても「自粛を強くお願いする」と求めている。ウェブサイトや会員制交流サイト(SNS)を活用した若者への注意喚起を強めていく考えだという。

 川反・大町地区での飲食にせよ、ダンスイベントにせよ、本来なら何の問題もない行為だ。コロナ禍の先の見えないトンネルが続く中、若者が発散の場を求める気持ちも理解できる。

 しかし、そうした行動をきっかけに感染が広がれば、影響は多方面に及ぶ。感染者の出た大学はキャンパスへの立ち入り制限やオンライン授業への切り替えなどの措置をとった。基礎疾患のある人や高齢者は文字通り命の危険にさらされかねない。

 新型コロナ収束への切り札と期待されるワクチン接種は進んでいるが、トンネルの出口はまだ遠い。いまはまだ、気を緩めていい時ではない。

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