社説:東京に4度目宣言 全国への波及、阻止せよ

お気に入りに登録

 東京五輪開幕を目前に、都内の新型コロナウイルス感染の再拡大が止まらない。東京都に4度目となる緊急事態宣言が発令されることが決まった。同時に大会組織委員会、都、国際オリンピック委員会(IOC)などの代表による5者協議で1都3県の首都圏会場が無観客開催の方針となったのは当然だ。

 「第5波」への懸念が増大する中、五輪や夏休み、お盆などで人の動きが活発化する可能性が高い。全国への波及を阻止しなくてはならない。

 東京への緊急事態宣言再発令のほか、沖縄県の宣言、大阪、埼玉、千葉、神奈川4府県のまん延防止等重点措置の延長が決まった。期間はいずれも12日から8月22日まで。北海道、愛知など5道府県の重点措置は11日の期限で解除する。

 菅義偉首相は会見でインド由来のデルタ株の影響に触れた上「再び東京起点の感染拡大を起こすのは絶対に避けなくてはならない」と述べた。緊急事態宣言の狙いはもっともだ。

 しかし現状は「7月から8月にかけて感染者や重症者が再び増える可能性がある」と、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志が先月、東京の宣言解除前に指摘した通りの感染状況だ。その事実を重く受け止めなくてはならない。

 専門家は感染力の強いデルタ株の脅威、宣言解除による気の緩みによる感染再拡大などを再三にわたって警告。警鐘を鳴らすシミュレーションも示していた。

 政府はこうした専門家の警告を結果的に軽視してきた。専門家の声を政策に反映する姿勢を欠いた政府の責任は極めて重いと言わざるを得ない。

 ワクチン接種が進む効果への過度の期待もあったのではないか。高齢者などに一定の効果はあるだろう。しかし遅れを取り戻しつつあったワクチン接種は供給不足などでペースダウンしている。今は接種現場の混乱解消を図ることが求められる。

 都内の新規感染者数は7日が920人、8日が896人で、19日連続して前週の同じ曜日を上回った。宣言解除後は一貫して感染拡大傾向にある。東京をはじめ首都圏の感染者が全体の3分の2を占める。今後、デルタ株への置き換わりもあって全国に感染拡大が波及する懸念はなお拭えない。

 これまで我慢と忍耐を強いられてきた人々の気持ちも限界に来ているのではないか。宣言と重点措置の期限までは6週間と長丁場。その気持ちを再び引き締めるのは容易ではない。

 それでも政府は国民の信頼を取り戻し、さまざまな場面で協力を得る必要がある。そのためには、無観客開催のみならず、感染防止を重視した東京五輪の運営に政府が真摯(しんし)に取り組むことが大切になる。今後は専門家の意見を尊重し、国民の命を守ることを第一にしたコロナ対策に全力を挙げるべきだ。

秋田の最新ニュース