北斗星(7月15日付)

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 今月上旬、季節の味覚を求めて湯沢市へと車を走らせた。湯沢横手道路を南下し市中心部を過ぎると、ビニールハウス群が目の前に広がった。三関地区のサクランボ畑だ。雨よけのハウスがびっしりと並び立つ光景は壮観だ

▼知人の果樹園を訪ねると、主力品種の佐藤錦が盛期を迎えていた。木々には丸々とした真っ赤な実が鈴なりについていた。味見をさせてもらうと豊潤な果汁が口の中に広がった。自然と頬が緩んだ

▼サクランボは繊細な作物で、糖度を増した実は雨粒に当たると簡単にひび割れる。風も大敵。「もいだ実をかごに入れるまでは油断するなと先輩の農家に教えられた。収穫の間は穏やかな天気が続くように毎日祈っている」。JAこまち桜桃部会の高橋信治部会長(54)が教えてくれた

▼今年は天候に恵まれないシーズンとなった。湯沢市や横手市では大雪でサクランボの木の枝折れが多数発生。春の天候不順も生育に影響したという。三関地区では例年に比べて収量が3割程度減少する見込みだ

▼不作を招いた天候は気候変動が原因なのかもしれない。「以前に比べて実が一気に熟し、収穫作業に追われるようになった。温暖化を肌で感じる」。高橋部会長と知人が異口同音に語った

▼梅雨の末期に毎年のように各地で発生する豪雨災害は気候変動の現実を物語っている。脱炭素化のスピードアップは急務といえるだろう。豊かな風土を次世代へと引き継ぐために何をするべきかを考え、行動したい。

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