社説:コロナ差別撲滅 市民運動の広がり期待

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 新型コロナウイルスの感染はいまだ収束には遠く、人々のコロナとの闘いは長期化している。危機的状況にどう対峙(たいじ)するかが問われている中、感染者や医療従事者らに対する誹謗(ひぼう)中傷や嫌がらせが後を絶たないのは残念だ。

 コロナ禍の中、外出を極力控え、手洗いやマスク着用を徹底するなど、一人一人が感染予防に努めている。それでも完全に防ぎ切るのは難しい。どこでどう感染したか分からず、困惑する人も多いだろう。そんな時に差別的な扱いを受けたら、どんなにつらいか。社会全体が困難に見舞われているからこそ、他人を思いやる気持ちを忘れたくない。

 医療従事者が誹謗中傷を受けるのも理解に苦しむ。コロナとの闘いの最前線で日々、神経をすり減らしているにもかかわらず、患者らと接しているといった理由で、近づかないようになどと差別的な言葉を浴びせられるのでは、どうにもやりきれない。心ない言動は、現場で奮闘する医療従事者のやる気を失わせかねない。

 そんな状況を憂い、愛媛県の大学教員らでつくる市民団体が昨年始めた「シトラスリボンプロジェクト」が広がりを見せている。シトラスは愛媛特産のかんきつ類を表す英語。かんきつ類をイメージした明るい緑色を基調に地域、家庭、職場(学校)を表す三つの輪をつくったリボンなどを身に着けてもらい、差別をなくす機運を高めようという運動だ。

 リボンには感染者や医療従事者らを地域、家庭、職場、学校が温かく迎えようとの思いが込められている。偏見や差別が絶えない社会からの脱却を願う切実なメッセージだ。全国各地の自治体や民間団体などが賛同し、普及に向けた取り組みを展開しているのは心強い。

 県内でもこのプロジェクトに賛同し、普及に力を注いでいる団体がある。大仙市の南外中学校はその一つ。生徒会が中心になって今年2月に活動を始めた。リボンをデザインしたピンバッジを身に着けたり、人に優しく接することの大切さをアピールするカードを校内に掲示したりした。

 同校は教職員も含め学校ぐるみで運動を展開。近隣の学校にもその意義を紹介して浸透を図っている。こうした取り組みが地域で共感を得るだけでなく、地域の枠を超えて広がっていくことを期待したい。

 ワクチン接種が進む一方、感染力の強い変異株への警戒感は増している。だが恐れるあまり、感染者らに差別的な扱いをするのでは、ぎすぎすした生きづらい社会になってしまう。

 子どもたちが大人の言動に影響され、同じような差別的な振る舞いをしてしまうことも懸念される。そんなことが起きないよう思いやりの大切さを確かめ合い、伝え続けることが重要である。

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