北斗星(7月27日付)

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 五輪の開幕日に航空自衛隊のブルーインパルスが東京上空を飛ぶさまを日比谷公園から眺めた。一糸乱れず突き進み、等間隔で5色のラインを描く曲技は圧巻。緊急事態宣言下の重苦しい空気が取り払われたかのように、空が青く澄んで見えた

▼煙の軌跡を見詰めながら、6年前に秋田市で開かれた「東北六魂祭」を思い起こした。あの時、ブルーインパルスは東北をつなぐ六つの輪を描いた

▼翌日の本紙の見出しは「復興へ 共に歩む」。東日本大震災からの再生と協調の意図が込められていた

▼五輪は連日のメダル獲得が注目されがちで、開催理念である「復興」はかすんでしまった感がある。コロナ禍の影響も大きい。全競技を通じた“開幕戦”だった福島でのソフトボールの試合は無観客となり、震災後の歩みや地域の魅力を伝える催しは中止された。福島県の内堀雅雄知事は「復興の姿や課題を知ってもらう機会が失われた」と無念さをにじませた

▼一方で都内には先ごろ、東北・新潟のPR拠点「東北ハウス」が開設された。五輪金メダリストや芸人、地元漁師などがパネルを介し復興支援への感謝と前へ進む決意を示している。力強い歩みに触れ、今回の五輪の原点はやはり復興だと再認識させられた

▼「東北の復興なくして日本の再生なし」とは就任直後の菅義偉首相の言葉。いま一度、五輪は被災地に思いをはせる機会であることを共有したい。それが震災の記憶が風化するのを防ぐことにもつながる。

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