北斗星(8月8日付)

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 「山歩いてたら土管があるんだよ。(中略)よく見ると、それが動くんだよ」。大蛇の目撃談だ。土管というのは排水路などに使われる粘土を焼いた円管のことだろうか。やぶからやぶまで伸びた体はどちらが頭かしっぽか分からないほど長かった

▼北秋田市阿仁地区のマタギの取材を長年続けるノンフィクション作家・田中康弘さんが同地の山の師匠から聞いた話。それをきっかけに全国の山で暮らす人たちの不思議な体験を取材した「山怪」シリーズ3巻(ヤマケイ文庫)が人気だ

▼山中でキツネやタヌキの仕業とされる正体不明の光や音に遭遇した話や滑稽な話、怖い話と内容はさまざま。山は猟の獲物など多くの恵みを与えてくれる一方で人知の及ばないこと、危険なことも多い。そんな山との関わりが今も多くの「怪」を生み出しているのか

▼どう理解していいか戸惑うような体験談の数々を読んでいると自然に山への畏怖が湧いてくる。きょうは「山の日」。山に親しみ、山の恩恵に感謝する日とされる

▼本来の山の日は8月11日。東京五輪閉会式がきょう行われるのに合わせ、都心の混雑緩和などのために日付が変更された。あすは振り替え休日、11日は平日なので念のため

▼大館市の「大館大文字まつり」は2018年から山の日の実施となった。昨年はコロナ禍で中止。今年は2年ぶりに鳳凰山の大文字焼きだけが行われる。日本一の大きさとされる大文字の炎がコロナを焼き尽くしてくれないものか。

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