社説:IPCC報告書 温暖化対策、一層加速を

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 将来世代にこれ以上、地球温暖化の負担を先送りすることは許されない―。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が温暖化の進行について警告した報告書は、現代を生きるわれわれに厳しい現実を突き付けた。

 IPCCは気候変動について最新の科学的知見を評価する組織。今回の報告書では産業革命前と比べた世界の平均気温上昇幅が2021~40年に1・5度を超える可能性が高いとした。従来分析より10年ほど早まった。各国の温室効果ガス排出削減対策に一層の強化とスピードが求められるのは必至だ。

 昨年まで10年間の世界の平均気温が既に1・09度上昇しているとの指摘もあった。温暖化が0・5度進行するたび、世界で発生する熱波を含む高温や大雨、干ばつなどの異常気象の発生頻度が「はっきりと認識可能な増大をもたらす」とした。

 これは既に目の前で起きている危機だ。今後さらに異常気象が増加するとすれば深刻な被害を覚悟しなくてはならない。

 人間活動による気候変動が異常気象発生に及ぼす影響の研究は近年大きく進展。スーパーコンピューターを駆使することで異常気象と温暖化の関連性が明らかになっている。IPCCが「人間の影響が(地球を)温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断定したことを重く見るべきだ。

 気象庁気象研究所などの分析では17年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨といった豪雨災害の発生確率が温暖化の影響で1・5~3・3倍に高まっているとされた。近年の猛暑にも影響していないはずはないだろう。現代に生きる誰もが異常気象と隣り合わせに暮らしている。

 地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定は産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。この目標に向けて各国は相次ぎ50年までの温室効果ガス排出実質ゼロを宣言している。

 温室ガス排出量が世界5番目の日本は昨秋、ようやく50年までのゼロ宣言をした。その実現に向け、新たなエネルギー基本計画素案で再生可能エネルギーの活用拡大などを掲げている。実現への道は平たんとはいえないが、日本はもちろん各国は是が非でもそれぞれの目標を実現しなければならない。

 今回の報告書が今秋開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に大きな影響を及ぼすことは間違いない。各国には異常気象が増大した場合の深刻な被害を直視するとともに、対策の早急な実行が求められる。

 未来の地球を守るため、温暖化防止が欠かせないという報告書をまとめた科学者たちからの警鐘を真摯(しんし)に受け止めたい。国のみならず、自治体や企業、一人一人の市民がそれぞれの立場から温暖化を防止する目標達成のために行動を起こす時だ。

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