北斗星(8月12日付)

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 三角翼を備えた独特の機体が巨大な鳥のようで美しい。超音速旅客機コンコルドに小学生の頃、憧れていた。学習雑誌の特集を何度も読み返した記憶がある

▼英仏共同開発で1976年に就航。通常約7時間かかるロンドン・パリ―ニューヨーク間を3時間台で飛行した。だが2001年の米中枢同時テロ後の航空需要低迷などで採算が悪化。03年に引退した

▼このコンコルドの「再来か」と話題になったのが米航空会社が先頃発表した超音速旅客機の導入計画だ。商業運航のめどは8年後。クリーンな燃料で運航し、現在約10時間かかる東京とサンフランシスコを6時間で結ぶという

▼マッハの速度は確かに魅力だ。ただ航空機は安全が第一。日本の空の安全向上の陰には痛ましい事故があった。50年前の1971年7月、北海道七飯町と岩手県雫石町で航空機事故が相次いで発生、多くの犠牲者が出た。これをきっかけとして74年に常設の航空事故調査委員会(現運輸安全委員会)が設置された

▼本県と隣り合う雫石町の事故は全日空機と自衛隊機が上空で衝突し墜落。旅客機の162人が死亡した。現場の捜索には秋田県警も加わった。20年以上前、幹部の一人から当時の捜索の話を聞いた。凄絶(せいぜつ)な現場の状況を知り、言葉を失ったのを覚えている

▼520人の命が失われた日航ジャンボ機墜落事故からきょう12日で36年。半世紀前の事故同様、記憶の伝承が大きな課題だ。鎮魂を祈り、空の安全を願う日にしたい。

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