社説:パックご飯工場 県産米、需要拡大に期待

お気に入りに登録

 県内で初めてのパックご飯製造工場が大潟村に完成し、先月から本格稼働した。大潟村あきたこまち生産者協会や秋田銀行などが出資する「ジャパン・パックライス秋田」が運営している。村内外で生産されたコメを活用し、スーパーなどのプライベートブランド(PB)向け商品を製造するほか、海外市場の開拓も目指す。

 パックご飯は電子レンジで手軽に温めて食べられることから、単身、高齢者世帯をはじめ幅広く受け入れられている。2020年の国内生産量(22万4430トン)は10年前に比べて約2倍に拡大。災害時の非常食としての需要もあり、今後も期待できる成長分野である。

 パックご飯市場への参入は、高付加価値の加工品でコメの新たな需要開拓を図る試みである。主食用米の消費量は人口減やコメ離れなどを背景に年々縮小しており、パックご飯に対する旺盛な消費意欲を取り込めば、県産米の需要拡大にもつながるだろう。

 新工場に導入された洗米、殺菌、炊飯、包装などの設備は大半が自動化されている。総事業費約21億円のうち、国と県が約12億8千万円を補助。多額の税金が投入された事業であり、パックご飯だけでなく、県産米全体の評価を高めることを期待したい。販路開拓などの面で官民一体の取り組みを強化してほしい。

 計画では10月からの1年間で2400万食を生産。その後順次拡大し、最終的に年間3600万食とする。現在8人の従業員は今後増やし、来年3月ごろから3交代の24時間稼働体制とする想定だ。

 パックご飯市場は大手数社が国内生産量の大半を占めるとされ、競合は避けられない。県産あきたこまちなどブランドをアピールし、価格面でも対抗できるようコストを極力抑えた商品作りを進めることが不可欠だ。

 パックライス秋田は大潟村の農家自らが経営に携わっている点が大きな強みだろう。同社によると、既存事業者はコメを業者などから仕入れているのに対し、同社は自前のコメを使うことで原料調達費を安く抑えられるという。この利点を最大限生かし、手頃な価格の商品を市場へ送り出してほしい。

 同社は既にPBの製造でスーパーなど全国約50社の取引先を確保した。今後も売り込みに注力し、経営安定化を図らなくてはならない。県の新品種米サキホコレを使ったパックご飯など、多彩な商品展開の可能性も探りたい。

 パックご飯は台湾、香港などでも人気があり、輸出量が急速に伸びている。海外市場も果敢に開拓すべきである。

 同社に出資した秋田銀は台湾に拠点がある。そのネットワークを十分生かしたい。新工場の経営が軌道に乗れば県内で第2、第3の取り組みが出てくる可能性もあるだろう。

大潟村パックご飯工場の可能性と課題を探りました

秋田の最新ニュース