北斗星(8月21日付)

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 明治時代にペストが日本に上陸した時、当時の東京市は住民からネズミを買い上げた。捕まえて交番に持参すれば、役所から1匹当たり5銭もらえたという。夏目漱石の「吾輩(わがはい)は猫である」にも書かれている

▼病原菌の運び屋と目されたネズミを一網打尽にする作戦だ。いい小遣い稼ぎになることから大人も子供も交番に列を作った。実際に感染拡大阻止に効果があった

▼こちらの作戦は住民の心を捉えることができるのだろうか。県外では新型コロナウイルスワクチンを打ち終えた人に、買い物時の割引を始めた商業団体が現れた。抽選で車や宿泊券を贈る特典を始めた所もある。若者の接種率向上が狙いらしい

▼いち早く接種が始まった欧米では「7割の壁」が問題になっていると聞く。接種を受けた住民の割合が7割に近づくと接種率が頭打ちになることを指す。各国は率を上げようと、現金給付や罰則導入などあの手この手で対策を繰り出している

▼ワクチンによる集団免疫ができるには住民の6~8割の接種が目安とされる。だが、感染力の強いデルタ株の広がりでハードルが上がったとの見方もある。日本国内全体の1回目の接種率はやっと5割を超えた。集団免疫ができるのはいつなのか

▼このところの新規感染者の爆発的増加は「たが」が外れてしまった感が拭えない。モノやお金で接種へ誘導する以前に、ワクチンを安定供給し、希望する人が一人でも多く確実に接種できる態勢を急いで整えなければ。

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