社説:県北、サルの食害 集落付近への定着防げ

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 北秋田市綴子の複数の集落に今春からニホンザルの群れが出没、野菜や水稲の食害が相次いでいる。通報を受けた市農林課の職員が現地に赴いたり、定期巡回したりして山林への追い上げを図っている。農業被害の拡大とともに人身被害が懸念される。集落付近への群れの定着を防ぐことが重要であり、市は対策に力を入れてもらいたい。

 現地は国道7号の北側、糠沢川沿いに点在する綴子字合地などの山あいの集落。同課職員は3月から8月中旬まで50回以上出動。火薬を使ったり、ハンドマイクのサイレンを鳴らしたりして追い上げを行っている。

 群れは30~40匹でトウモロコシやエダマメ、水稲などに被害が出ている。合地から北に5~6キロの集落では以前から群れが確認されており、それが南下したとみられる。

 墓地のお供えが狙われたという話もあり、まずはサルを引き寄せる原因を取り除くことが大切だ。同課は野菜などの適切な収穫管理をはじめ、不要な果樹や栗の木などの伐採を呼び掛けている。住民と協力し、さまざまな防御策を試みてほしい。

 県自然保護課によると、青森県にまたがる白神山地一帯にはニホンザルが生息し、2012年度までの調査で八峰町、能代市、藤里町にかけて19の群れを確認した。その後の調査では大館市比内町大葛と田代地区、合地の北の二本杉集落で1群ずつ確認した。八峰町から大館市まで山地が続いているが、全体の生息状況は分かっていない。

 県のまとめでは、19年度の野生鳥獣による農作物被害は2961万円。そのうちサルは517万円で2割近くに上る。

 1988年に県内で初めて被害が確認された八峰町(当時八森町)では今も対策が続く。住民にロケット花火などを支給して追い上げたり、畑の周囲に電気柵を設置したりしている。

 猟友会による駆除やおりを設置しての捕殺も行っており、ピーク時に400万円超だった被害額は減少。ただし近年は100万円台前半で下げ止まり、横ばい傾向だという。

 藤里町は7月、猟友会に委託し平日のパトロールを始めた。空砲によるサルなどへの威嚇も行っており、これに伴ってクマの出没は確実に減少した。だがサルへの効果は未知数だ。町農林課は「サルは賢く、すぐ慣れてしまう。対策をいろいろ考えてもいたちごっこだ」と嘆く。

 両町の担当者らは、群れの定着を防ぐには追い上げなどを地道に行うしかないと指摘。北秋田市は県などと連携し、定着防止に力を注いでほしい。

 藤里町の例から分かるようにサル対策はクマ対策にも通じる。一方で集落付近のやぶなどを刈り払い身を潜める場所をなくすなど、クマに有効な対策をサルに試すことも必要だろう。人身被害防止を最優先し、県北全体で経験と知識を共有して有効な対策を見いだしてほしい。

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