北斗星(8月29日付)

お気に入りに登録

 「全国に転勤することがあるけれど、県庁所在地に限られる」。総務省自治行政局長の吉川浩民さん(57)は結婚前、妻にそう伝えていたそうだ。ところが1998年に助役として赴任したのは矢島町(現由利本荘市)だった

▼妻や2人の子供とともに2年間暮らした町には退任した後にも幾度か訪れている。「廃藩置県の後、矢島県だった歴史があったので、うそにならずに済みました」。助役時代の吉川さんに聞いた話だ

▼1871(明治4)年7月14日(新暦8月29日)の廃藩置県によって秋田県が誕生し、きょうで150年。当時は秋田、岩崎、亀田、本荘、矢島の5県があり、鹿角郡は江刺県に、旧仁賀保領は山形県に含まれていた。その4カ月後に全国的な統合や廃止があり、現在と同じ秋田県の形が定まった

▼秋田市山王の県公文書館で企画展「廃藩置県150年 公文書でみる秋田の歴史」が開催されている。小規模ながら、県の誕生から現代までの変遷を総覧できる見応え十分な展示だ

▼各時代を表す出来事として取り上げられているのは発展を遂げる県土の姿ばかりではない。戦争や災害、貧困といった数々の困難もある。明治期に流行した天然痘や赤痢、大正期のスペイン風邪など感染症との闘いも紹介されている

▼日々の深刻な新型コロナ感染状況から目が離せないが、それもいつかは歴史上の出来事となる。県や国を挙げて克服したと語られ、後世に資する歴史にできればと願わずにいられない。

秋田の最新ニュース