北斗星(9月4日付)

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 あっけない幕切れだった。菅義偉首相が昨日、辞任の意向を明らかにした。昨年9月16日、本県出身者として初めて総理大臣となった。それが1年余りでその座を去る

▼地方と都会の両方をよく知るといわれ、「たたき上げ」の手腕が期待されていた。所信表明演説では「活力ある地方を創る」とし、観光や農業改革による地方活性化を打ち出した。デジタル庁創設や脱炭素社会の実現も表明した

▼船出は順調そうに見えた。ただ不安も覚えた。同時に「自助・共助・公助」を目指すべき社会像に掲げたからだ。一番上に「自助」を置いたということは弱者を置き去りにしかねない発想とも受け取れた

▼その前に浮上した日本学術会議の任命拒否問題では、最後まで理由を詳しく語らなかった。政権を批判する学者を寄せ付けない「強権的な顔」がちらついた

▼先月には、新型コロナウイルスワクチン接種などにより「明かりははっきりと見え始めている」と語った。自宅療養者が12万人に迫り、亡くなる人も相次ぐ中、なぜこうした発言になるのだろう。菅首相は現実を正しく認識できず、急激な感染拡大による「災害レベル」の状況を結果的に許してしまったのではないか

▼コロナ対策は誰が首相になっても難しいことは確かだ。とはいえ現状を正確に把握しない限り、有効な対策は取り得ない。昨日の会見で菅首相は「国民の命と暮らしを守る」と述べた。首相としての残りの任期は、その約束を果たすためにある。

秋田魁新報電子号外

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