社説:「県民謡協会」受賞 継承への活動絶やすな

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 県民謡協会(王藤=おうとう=正蔵理事長)が、サントリー文化財団(大阪市)の「第43回サントリー地域文化賞」に選ばれた。民謡関係者の高齢化が進み、新型コロナウイルス感染拡大の影響で活動が制限されるが、秋田民謡の次世代への継承に一層力を注いでほしい。

 サントリー地域文化賞は地域文化活性化に貢献した団体などを顕彰。今回は同協会をはじめ全国の5団体に贈られる。

 協会は県内各地の民謡大会に関わるなど、全国でもまれな活動規模の大きさが注目された。また指導者の育成や若手への継承に力を入れ、長年歌い継がれた秋田民謡の普及に努めたことが評価された。地道な取り組みが認められたことは喜ばしい。

 協会はプロの2団体とアマチュア愛好家の1団体が集まり、1980年に設立。プロ、アマの垣根を越えて切磋琢磨(せっさたくま)し、親睦を図りながら秋田民謡を盛り上げようと活動している。

 しかし高齢化に伴い、民謡人口は減少が続く。会員は現在、約1200人と20年ほど前に比べてほぼ半減。伝統をどう引き継いでいくかが大きな課題だ。

 昨年来のコロナ禍が活動に影を落としている。「全国大会」と銘打つ民謡大会は12あったが、ほとんどは2年連続で中止。「秋田草刈唄」(にかほ市)と「本荘追分」(由利本荘市)の2大会は中止にとどまらず、入場者減などを理由に今年限りで幕を下ろす。他の大会は継続に向け努力してほしい。

 全国大会は歌い手だけでなく尺八、三味線の奏者が腕を磨く場となり、地域振興にも寄与してきた。コロナ収束後を見据え、新たなイベント開催などを通じて秋田民謡の魅力に触れられる機会を増やすことが大切だ。

 次世代への継承活動の中で高く評価されたのが、毎年行っている公認指導者の検定試験と研修会である。資格を得た指導者は各地で教室を開くなど継承に大きく貢献している。歌い方や節回しはもちろん、歌詞の意味、民謡が生まれた背景や文化もしっかり伝えてもらいたい。

 生活の変化に伴い、かつてのように日ごろから子どもたちが民謡に慣れ親しむ機会は減った。それだけに協会の指導者が小学校などに出向いて民謡を披露する出前授業は貴重だ。学校側も協会の意図をくみ取り、受け入れ態勢を整えてほしい。

 若手関係者の中には動画投稿サイトで民謡をPRしたり、オンラインで指導したりする例もある。これまでのやり方にとらわれず自由な発想で民謡の魅力を発信する努力は欠かせない。

 秋田民謡は本県の風土に根差し、人々の生活に潤いを与えてきた。先人から受け継いだ大切な文化を絶やしてはならない。

 コロナ禍で思うように活動できない今こそ、民謡の価値を見詰め直し、民謡の未来を考える時にしてほしい。今後も協会が本県民謡界をけん引することを期待したい。

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