北斗星(9月9日付)

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 〈椋鳥(むくどり)の沢山(たくさん)来れば烏(からす)逃ぐ〉高野素十(すじゅう)。確かにムクドリの群れが空を縦横に飛び回るさまにはカラスも逃げ出しそうな迫力がある。その大群は時として人間にひどく嫌われる。市街地につくる集団ねぐらのためである

▼秋田市八橋の市保健所裏手の大木もその一つ。今夏も夕方になると、どこからともなく集まって夜中までやかましく鳴き続け、ふんを落とした。昨年夏ごろから市に苦情が寄せられるようになった

▼繁殖を終えた7月ごろから冬にかけて夜間に集団ねぐらをつくる習性がムクドリにはある。かつては郊外の林が多かったが、開発が進んだ1980年代ごろから市街地に移り、うるさい、汚い、臭いと全国で社会問題化した。秋田市ではJR秋田駅前や市役所近くなどに集まったことがある

▼嫌われ者になったムクドリだが、大量に虫を食べることから農業では益鳥とされた時代もあったという。市街地への進出は人間による環境変化への適応という面も指摘されている。今になって一方的に害鳥扱いするのはちょっと気が引ける

▼八橋の大木では、8月下旬ごろから姿がぱったり見えなくなったそうだ。動物よけの超音波発生器が奏功したのではないかと住民は喜ぶ。市は来年に備え、県外の事例も参考に対策を練っている

▼〈椋鳥と人に呼ばるる寒さかな〉小林一茶。江戸に出て来た田舎者をあざけって呼ぶ言葉でもあったムクドリ。邪険にするのはほどほどに、うまくすみ分ける手だてはないものか。

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