「母さん」呼称について、作家・甘糟りり子さん寄稿

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 昨年末、小学館の運営するニュースサイトに「私を『奥さん』と呼ばないで―呼称ハラスメント再考」を書き下ろした作家の甘糟りり子さんに、呼称問題について寄稿してもらった。
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甘糟さん「風情より多様性を優先して」


 私は現在57歳。未婚で出産の経験はない。分類としては「中年女性」。今の感覚だと50代ではまだ老年とはいえないだろう。そんな私でも、時々「お母さん」「奥さん」と呼ばれることがある。馴染(なじ)みの薄い鮮魚店だったり、初めて足を踏み入れた骨董(こっとう)店だったり。たいていは自分よりかなり年上の男性女性から親しみを込めてそう声をかけられる。私は誰かの母でも妻でもありませんよ、と言いたくなるが、親しみを込めたものであって悪気がないのはわかるので、ぐっと言葉をのみ込む。正直いえば、相手の年代で忖度(そんたく)をする。女性はある程度の年齢になったら結婚して子供を産むのが当たり前という感覚の年代では、中年女性はみんな「お母さん」「奥さん」と無意識に思っても仕方がないと諦めてしまう。

 少し前、運転中に踏切で一時停止無視をしてしまい、警官に止められた。おそらく20代か30代前半であろう警官は近づいてきてこう言った。

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