社説:玉川、鎧畑ダム連携 一体運用、最大効果探れ

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 頻発化、激甚化する水害への対応などを目的に、国土交通省東北地方整備局と県は、仙北市の玉川上流部にある国管理の玉川ダムと県管理の鎧畑ダムの連携強化に向け検討を進めている。両ダムを一体的に運用し、より効果的に洪水や渇水の被害防止などにつなげたい考えだ。行政の垣根を越え、既存施設の能力をさらに高める運用法を早期に確立してほしい。

 玉川ダムは洪水調節や発電、仙北平野への農業用水補給、秋田市への上水道用水供給など六つの役割を担う多目的ダム。貯水量2億5400万立方メートルは東北の国管理ダムで最大となる。

 一方、5キロ下流にある鎧畑ダムは洪水調節と発電を担う。貯水量は5100万立方メートルと玉川ダムの5分の1だが、県管理のダムでは最大だ。

 東北地方整備局と県は6月に連携協定を締結。運用法に関し具体的検討を進めている。管理者が異なるダム間の連携協定は全国初。協定に基づき、先月には玉川ダム管理所内に連携強化推進室を設置した。

 両ダムは同一河川の5キロ離れた場所に整備された。玉川ダムの放流水は下流の鎧畑ダムを通過するため、これまでも大雨や渇水の際には放水量などに関して情報共有してきた。

 しかし、放流ゲートの操作は流入量やダム湖の水位などを基にそれぞれのルールに従って実施。管理者もダムの目的も異なるため、連携内容に限界があったことは否めない。

 今後の連携の在り方としては、大雨に備えて事前放流を行う時の一体的運用などが想定されるという。前線や線状降水帯がもたらす大雨は予測が難しく、事前放流が「空振り」に終わることもある。例えば予測が外れて鎧畑ダムの水位が下がった場合、規模が大きい上流の玉川ダムから不足分の水を補給すれば、利水への影響を小さくできる。同じ河川で近接するダムだからこそ可能な運用である。

 このように両ダムをひとまとまりの施設と考えれば、それぞれの目的にとらわれない柔軟で迅速な水量調節が可能になるはずだ。現在は別々の操作室を、将来は1カ所に集約することも検討に値するだろう。

 連携強化推進室では両ダムの職員が、水量などに関するデータ分析などを通して効率的な運用法を検討している。一体的運用の効果が最大になる方法を探ってもらいたい。

 国は水害対策として「流域治水」を推進する。水田に一時的に水をためる「田んぼダム」や河川の流量を増やすための川底掘削、災害発生リスクが高い地域の土地利用規制などさまざまな対策を結び付け、流域全体の防災を実現する取り組みだ。

 流域治水は玉川を含む雄物川水系でも進められている。玉川、鎧畑両ダムの連携強化により治水・利水の機能が一層向上し、流域住民に安全、安心をもたらすことを期待したい。

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