社説:姉妹都市との交流 つながり大切に息長く

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 新型コロナウイルスの新規感染者数は全国的に減少傾向にあるものの、収束は依然見通せず、人と人との交流は抑制を余儀なくされている。同じ地域内でもそうなのだから、地域外や県外の人との交流となると関係は一層疎遠になってしまう。

 自治体の多くは、姉妹都市や友好都市との行き来ができず、もどかしい思いでいるに違いない。大勢で長距離を移動し、行動を共にすることによる感染リスクが大きいため、これまで盛んに行ってきた交流事業などは相次いで中止となっている。やむを得ないこととはいえ、この状態が長期化すれば、せっかく築いた良好な関係が希薄になりかねない。

 湯沢市の飲食店経営者有志が先月初め、「ゆざわ・北海道釧路フェア」を始めたのはそんな閉塞(へいそく)状況を打開したいとの思いの表れだろう。釧路市の業者と連携して海産物を販売する取り組みだ。

 釧路市とは1963年に姉妹都市提携を結んでおり、その縁を生かした。フェアといっても、釧路から業者が訪れて直接販売するわけではない。釧路から送られてくる海産物を湯沢の飲食店がメニューに取り入れ、販売する形だ。

 低迷する外食需要を喚起したい湯沢側、観光客落ち込みで減った売り上げの挽回を狙う釧路側の双方の思惑が一致。中小企業への経営相談業務を担う湯沢市ビジネス支援センターなどが取り組みを後押しした。

 今後は湯沢の特産品を釧路で販売するフェアの開催も計画しているという。感染状況によっては実施が困難になる可能性も否定できない。しかし姉妹都市提携の土台になっているのは明治以降の経済交流。この長い交流の歴史を強みと捉え、少しずつでも地域経済が好転するよう知恵を出し合うことが大切だ。

 美郷町も同様の取り組みに力を注ぐ。コロナ禍で昨年度、本年度と活動は休止となっているが、友好都市提携を結ぶ東京都大田区に出向き、特産品などを販売する物販交流事業を積極的に展開してきた。交流は合併前の旧六郷町時代から続いており、こちらも長い歴史がある。

 物販交流事業は、共に町の花であるラベンダーを核に関係強化を図る北海道中富良野町とも進めてきた。他の自治体との事業展開も含め、来年度こそはと活動再開を見据えている。一層の進展に期待したい。

 必要なのは、活動が一時中断したとしても、粘り強く次の機会を探っていくことだ。姉妹都市や友好都市は自治体にとって次世代に引き継ぐべき大きな財産である。長年培ってきた交流の機運が途絶えてしまわないようにしてほしい。

 子どもたちも参加して文化交流を長く続けている例も少なくない。核となるのは人と人との結び付きだ。県内で人口減が深刻化しているからこそ、縁を大切にしたい。

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