佐竹氏遺宝展(1)花菱扇紋散蒔絵文台・硯箱 剛直な雰囲気に趣

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 廃藩置県から150年を経た現在まで散逸を免れ、保存、継承されてきた秋田藩主・佐竹氏の資料を集めた「佐竹氏遺宝展―守り継がれた大名家資料」が、秋田市金足の県立博物館で開かれている。歴代藩主12人の肖像画を一堂に公開し、将軍家・諸大名から届いた書状の数々や、華やかな工芸品など102点が並ぶ。注目の展示品を紹介する。全5回。

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「花菱扇紋散蒔絵文台(はなびしおうぎもんちらしまきえぶんだい)・硯箱(すずりばこ)」
文台(奥)幅56・2センチ×奥行き31・5センチ×高さ10・4センチ
硯箱(手前)幅18・5センチ×奥行き21・6センチ×高さ4・1センチ
天徳寺蔵
秋田市指定有形文化財(指定名称・調度文房具)


 写真は収納箱に「光源院様御道具」と記されており、7代藩主佐竹義明(よしはる)の夫人、光源院直姫(1729~48年)の所用品とみられる。

 文台(ぶんだい)は書物や短冊を置くための机で、和歌をたしなみ文芸に通じた女性の持ち物である。天板には、草花や文学作品を題材にした絵画的な蒔絵(まきえ)が施されることが多いが、本品のように花菱文と家紋で外面を埋め尽くすのは珍しく、どこか剛直で男性的な雰囲気がある。近寄って眺めると、扇面の一つ一つに微小な千鳥、富士、刈田にスズメなどが描かれている。

 硯箱を開けるとカキツバタやミズアオイ、オモダカが茂り、サギが飛来する水辺の風景が、華麗な金蒔絵で表現されている。

 外観は硬質で、手に取ると風雅な王朝文化の世界が広がるという趣向が面白い。大名家の文化や嗜好(しこう)を物語る逸品である。

展覧会の詳細はこちら
佐竹氏遺宝展―守り継がれた大名家資料―

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