北斗星(9月20日付)

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 秋晴れの午後、目の前には棚田が広がっていた。段差のついた田んぼが整然と並ぶ。黄金色の穂はこうべを垂れている。目を引くのは田と田を仕切るあぜの美しさだ

▼斜面になっている所も雑草を短く刈り込んである。根の張った草を残してあぜが崩れるのを防いでいるらしい。ここ五城目町馬場目の中村地区を今月上旬、訪れた。山あいの棚田を守るため、人々は営々と汗を流してきたに違いない

▼地元の人に聞くと、高齢者や女性も含め集落で草刈りに取り組んでいるという。あぜの斜面部分が危険なため、安全に特に気を付けている。「作業する朝の時間はコミュニケーションのひととき。『元気か』などと声を掛けている」と語る

▼高齢化により先行きには不安もある。そんな中、昨冬はイルミネーションに挑戦。秋田公立美術大生らの協力を得るなど、集落以外の人々との出会いに手応えを感じた。地区内にある大きなイチョウも財産。「黄葉すると間もなく雪が降る」といわれる不思議な古木だ

▼県内では確かに高齢化が進む。とはいえ、少し見渡せば、粘り強く地域を守ろうとする各地の動きに気付く。三種町森岳では、高齢の経営者に代わって町内外の有志がナシなどを栽培。横手市大森町では来年、50代の姉妹がワイン用のブドウ作りに踏み出すという

▼今日は「敬老の日」。老いも若きも手を携え、大地を踏みしめて古里のあしたにつなげようとしている。その姿に、希望をつむぐ力強い歩みを見る。

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