社説:本県のICT教育 遅れ挽回へ活用法探れ

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 全国学力テスト(学テ)に合わせて行われた学校アンケートの結果によると、県内の教育現場では情報通信技術(ICT)の活用が全国に比べ進んでいないことが明らかになった。他県の事例なども参考に、積極的な取り組みを進めていきたい。

 文部科学省が毎年実施する学テでは、教育現場の現状について学校に尋ねるアンケートを同時に行っている。今年はICT活用についての質問が大幅に増え、県内の回答が示す数値はおしなべて全国平均を下回った。

 例えば、教職員と子どものやりとりにICT機器を活用しているかとの問いに「よく活用している」「どちらかといえば活用している」と回答したのは、小学校が25・5%で全国平均より19・2ポイント低かった。中学校も21・1%で20・4ポイント下回った。

 ICT機器を使う授業の準備ができているかという質問や、ICT機器の使い方を学ぶ研修機会があるかという質問などでは、肯定的な回答をしたのは小学校、中学校ともに全国平均より7~10ポイント前後低かった。

 県教育庁はアンケート結果について、県内の教育現場が子どものコミュニケーションを重視する独自の探究型授業に力を入れてきた中で「ICT活用への切り替えがスムーズにいかなかった」と分析している。今年は全国の教育現場が本格的にICT活用に取り組む「ICT元年」と呼ばれる。本県では既に全小・中学校にデジタル端末が配布された。活用面での立ち遅れを早期に取り戻したい。

 効果的な活用法を探っていく上では、全国各地の取り組みが参考になる。「集団行動への参加が難しい児童が、ウェブ会議システムを用いた朝の会に参加することができた」「音読の宿題で、録音した音声を学校に送信することで音読の精度が上がった」「新型コロナウイルスの濃厚接触者になり2週間児童が休んだ際、リモートで授業に参加できた」―。文部科学省やデジタル庁のサイトにはこうした事例が数多く紹介されている。県内でも導入可能なものは前向きに取り入れたい。

 県内では、2011年度から児童生徒全員がデジタル端末を使ってきた八峰町が先進地として知られる。授業の振り返りを各生徒が端末から書き込み、クラス全員がリアルタイムで閲覧。参考になった意見に「いいねボタン」を押して評価するといった使い方が、日常的なものとなっている。

 他の生徒の前ではなかなか発言できない生徒が、デジタル端末を使うことで積極的に意見を発信する姿もみられるという。ICTは万能ではないにしても、使い方によっては新たな可能性があるのも確かだ。

 学力向上で全国をリードしてきた本県の教育現場には、探究型授業を発展させる形でのICT活用を期待したい。試行錯誤しながらも本県ならではの活用法を切り開いてほしい。

「ICT教育」に関する連載企画です

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