佐竹氏遺宝展(5)梨子地葵紋唐草蒔絵祝膳 華やかに器を飾る

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「梨子地葵紋唐草蒔絵祝膳(なしじあおいもんからくさまきえいわいぜん)」 天徳寺蔵

 大名家の縁組は家柄に応じて取り結ぶのが通例で、佐竹氏は加賀藩前田氏、土佐藩山内氏、佐倉藩堀田氏などの大名家から夫人を迎えている。3代秋田藩主佐竹義処(よしずみ)は、紀州藩徳川光貞の娘、育姫(のりひめ)を長男義苗(よしみつ)の正室に迎えた。

 写真は育姫の遺品とみられる膳椀(ぜんわん)で、淡い梨子地(なしじ)の上に金蒔絵(きんまきえ)で三つ葉葵(あおい)の紋と唐草を配し、内側は朱塗りとしている。梨子地は蒔絵の技法の一つで、梨の表面のように、粒状の模様が器面を覆うことからその名が付いた。梨子地と朱の取り合わせが美しく、ハレの日にふさわしい華やかな飲食器である。

 育姫は1689(元禄2)年に15歳で輿(こし)入れした。佐竹氏にとって初めての御三家との縁組で、幸福な大名夫妻の生活が待っているはずだったが、育姫はわずか4年後に没し、義苗も家督を継ぐ前に早世。子は残さなかった。遺品が天徳寺に納められたのは、若くして亡くなった姫への供養であろうか。

<終わり>

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佐竹氏遺宝展―守り継がれた大名家資料―

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