まつ子さんと一緒に乗客を見送ってみた 乗り鉄日和・由利鉄2021年秋【動画】

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新型コロナ禍が収束せず、旅に出られないのですっかり「乗り鉄日和」を執筆する頻度が落ちてしまった。中でも由利高原鉄道(由利鉄)鳥海山ろく線は、昨年秋以来、丸1年間も足が遠のいていた。その間、由利鉄がらみの話題はたくさんあった。中でも、羽後本荘駅の新駅舎建築工事の進捗を追い掛けることができないまま、開業に至ったのは非常に悔やまれる。

<矢島駅構内の売店「まつ子の部屋」の名物店主・佐藤まつ子さん。店先で待ち構えているだけではなく、待合室を回り、観光客と積極的に交流している=9月18日午前10時半ごろ>


1年ぶりに由利鉄の旅に出るめどがつき、過去の旅を振り返ったところ、一つ気になることが出てきた。由利高原鉄道で最も観光客の注目を集めているであろう、矢島駅構内の売店「まつ子の部屋」の店主・佐藤まつ子さんが列車を見送るシーンを1度も紹介していないのだ。理由はただ一つ。写真撮影に失敗したからだ。今回は見送られる側でなく、まつ子さんと一緒に見送る側に立ち、しっかりとカメラに残そうと決めた。秋の恒例行事「かかし列車」が始まった9月18日、由利鉄に乗る旅へと向かった。
(取材・鎌田一也)

あいにくの雨の中、矢島駅に出勤してきたまつ子さん=午前9時3分ごろ


この日は「乗り鉄日和」というタイトルに似合わず、あいにくの雨模様。こちらの気分も湿りがちだったが、午前9時過ぎに、まつ子さんが着物姿で矢島駅へと出勤してくると、急に周囲が華やいだ雰囲気になった。

「まつ子の部屋」の開店準備を始めるまつ子さん=午前9時5分ごろ


1年ぶりに再会したまつ子さんは相変わらず元気そうだった。売店を開く準備を素早く終えると、改札口前に置かれたホワイトボードへと向かった。地元有志による「矢島高校を応援する会」が今年夏に設置したものだ。まつ子さんは毎朝、乗客に向けて何か一言書いているという。

改札口近くのホワイトボードにメッセージを書き込むまつ子さん=午前9時7分ごろ


最初に「案」と書いた後、まつ子さんは考え込み、結局その字を消して「かかし列車が始まりました」と書き直した。「『案山子』と書こうと思ったけど、漢字ばかり続くのもねえ、と思ったのよ」。結局、後で「案山子」と書き直していたが。

矢島駅を午前9時40分に発車するのは、おばこ姿のアテンダントが乗車する「まごころ列車」。この日はおもちゃ列車(YR2001号)とエボルタ電池鉄道ラッピング車(YR2002号)の2両編成だった。

「まごころ列車」は、この列車と、折り返しの羽後本荘駅10時43分発の2本しかなく、観光客はこの時間帯に集中する。この日、矢島駅から乗車したのは十数人。過去の旅(昨年7月、9月)に比べれば少ないが、まつ子さんは、いつものように乗車待ちの客に桜茶を振る舞い、声を掛けていた。

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