時代を語る・佐藤謙一(1)初のカクテルに感激

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「バーは大人の社交場」との信念を持って店に立つ=先月20日
「バーは大人の社交場」との信念を持って店に立つ=先月20日

 バーテンダー歴50年以上の佐藤謙一さん(73)は先月、弟子に店を譲り一線から退きました。半生を語ってもらいます。

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 初めて飲んだカクテルはスクリュードライバーでした。50年以上前のことですが、今もよく覚えています。本当にうまかった。それがバーテンダーの道に入るきっかけなんです。

 作ってもらったスクリュードライバーは、ウオッカに冷えたオレンジジュースを注いで軽く混ぜただけ。それでもこんなにうまい飲み物があるのかと、飲み慣れない私は目を開かれる思いでした。

 カクテルの味というよりは、オレンジジュースをおいしいと思ったのかもしれません。フレッシュなジュースが手に入りにくい時代で、コンクジュースという濃縮液を薄めて使っていました。当時はそれでも十分においしかった。

 バーテンダーになったのは昭和42(1967)年です。東京・赤羽にあったバーからスタートしました。本格的に修業しようと思い、7年後に東京・内幸町の帝国ホテルに入りました。

 食堂酒場課(当時)に配属され、カクテル作りや接客のための英語を一から猛勉強しました。でもカクテルのレシピ本や洋酒の情報は乏しく、片言の英語で海外のお客さまからも情報を得ようと必死でした。

 チーフバーテンダーを長く務めた後、念願だった自分の店「BAR ル・ヴェール」を東京・銀座に構えることができました。開店から10年が過ぎた頃、親孝行をしてこなかったなあと思い、帰郷を決めました。

 秋田市・川反で店を開く際は、銀座の店と同じ雰囲気になるように心掛けました。バーは大人の社交場なんです。それにふさわしいマナーが大切で、ドレスコード(服装の規則)を設けました。サンダルや長靴、Tシャツなどでの来店者は入店を断ってきました。

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