社説:コメ概算金下落 営農支援に全力挙げよ

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 JA全農あきたが県内各JAに示した2021年産米の「JA概算金」は、前年から大幅に下落した。主力のあきたこまち1等米(60キロ)は2千円安い1万600円となり、過去5年で最安値だった。新型コロナウイルス禍で外食需要が大幅に減少し、全国的にコメ在庫が過剰となっていることが響いた。

 農家の資金繰りが厳しくなり、離農が相次ぐ事態は避けなければならない。行政と農業団体で危機感を共有したい。生産意欲の減退につながらないよう、県や市町村は営農支援に全力を挙げてほしい。

 下落は2年連続。消費者は購入しやすくなるが、農家への打撃は大きい。JA概算金から販売手数料を差し引くなどした「生産者概算金」は1万円程度とみられ、大幅な減収は必至だ。

 農林水産省のまとめでは、今年6月の全国のコメ民間在庫量は前年同期より19万トン多い219万トン。国が示す適正水準(180万~200万トン)を上回っている。コメ需要は人口減や食の多様化で年々減少している上、コロナ禍で飲食店などの需要が大幅に減り、在庫が増えた。

 JA秋田中央会などは米価下落が稲作農家だけでなく地域経済にも影響を及ぼすと指摘。安定的に営農できるよう融資制度創設などを県に要望している。

 県によると、国の収入減少影響緩和対策に加入している認定農業者らの減収分は一定額が補填(ほてん)されるものの、受け取れるのは来年5月下旬から6月。つなぎの運転資金の支援が不可欠である。

 県は農家に対し、日本政策金融公庫の無利子(5年間)の融資制度などを紹介して対応する方針。農業を主とする個人や法人がコロナが理由で経営難に陥った場合、原則として最大1200万円まで融資を受けられる。周知に力を入れ、資金繰りを支えてもらいたい。

 農業団体は、過剰米を国が買い入れるなどして市場から切り離す緊急対策も要望。県は他自治体とも連携し、必要な対策を強く国に働き掛けるべきだ。

 一方、JA全農あきたは、この秋に先行販売される県新品種米「サキホコレ」の買い取り価格について、1等米60キロ当たり1万4600円と決めた。コシヒカリをしのぐ良食味を目指して開発したブランド米であり、19年に1万4900円、20年に1万4千円だった新潟県産コシヒカリの概算金を参考にした。

 東北他県のブランド米の概算金などと比べると、山形のつや姫(1万5800円)より1200円、青森の青天の霹靂(へきれき)(1万5100円)より500円安い。サキホコレの優れた食味を広く知ってもらうには、消費者の手に取りやすい価格がいいとの判断もあったとみられる。

 高い評価を得られれば将来の価格上昇も望める。サキホコレが市場での存在感を十分発揮し、県産米全体の価格底上げにつながることを期待したい。

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