社説:デジタル庁接待 大臣規範、見直し進めよ

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 デジタル庁発足から1カ月余りがたった。この間、注目を浴びたのは政策ではなく、平井卓也前デジタル相や幹部がNTTによる接待を受けていた問題だった。幹部は懲戒処分を受ける一方、平井氏は「一定の責任がある」として閣僚給与1カ月分を自主返納しただけだ。

 省庁と企業の関係を巡り、国民の信頼を損ないかねない。第三者委員会や国会の場で接待問題を検証し、実効性ある再発防止策を講じることが求められる。政府は、関係業者からの供応接待などを禁じる大臣規範の見直しも含め検討するべきだ。

 デジタル庁は行政オンライン化に必要な施策立案などを担う。現役IT企業社員らが企業に籍を置いたまま、週に数日だけ働く兼業を認めている。約600人の職員のうち民間出身者が約200人を占める。

 それだけに所属企業への利益誘導や情報漏えいの懸念が指摘されている。大臣をはじめ幹部がNTTの接待を受けていたことは癒着の可能性を疑わせる行為であり、見過ごせない。

 接待の事実が明らかになったのは6月の週刊誌報道がきっかけ。デジタル庁などによると、平井氏は昨年10、12月に事務次官級のデジタル審議官と参与の2人の幹部を伴い、NTTの澤田純社長と2回会食した。平井氏は半年以上後に週刊誌の取材を受けたのを機に、3人分の飲食費など計約22万円を事後的にNTT側に支払った。

 大臣規範は2001年に閣議決定。関係業者から供応接待や贈り物、便宜供与を受けることなどを禁止する。会食そのものを禁じる規定や罰則はない。

 平井氏は自身はNTTに対する許認可権限を持たず、費用を支払ったことなどを理由に大臣規範上、「問題ない」との見解を示している。だが週刊誌報道がなければ支払いをしていたのか疑わしく、説得力に乏しい。

 国家公務員倫理審査会は、審議官は実質的に接待を受けたと認定。減給1カ月の処分とした。同席した大臣に処分がないのは不自然に見える。大臣規範がこのままでいいか検討するためにも、経緯の検証が必要だ。

 デジタル庁の他にも、総務省幹部が菅義偉前首相の長男が幹部を務めていた東北新社やNTTから高額の接待を受けていたことが明らかになっている。これまでに職員延べ45人が処分され、総務審議官が辞職した。

 安倍・菅政権では、森友学園の財務省決裁文書改ざんや安倍晋三元首相の「桜を見る会」を巡る問題が批判を浴びたが、真相解明からは程遠い。今回自民党幹事長に就任した甘利明氏を巡り野党は、16年に経済再生担当相辞任につながった現金授受問題を追及する構えだ。

 過去の政権が説明責任を果たさなかった問題に岸田新内閣がどう対応するか、国民は注目している。政権の信頼獲得のためには問題に正面から向き合い、真相解明に努めるべきだ。

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