北斗星(10月19日付)

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 コートのポケットへ手を突っ込んだ女性を先頭に、行列ができている。着物姿の女性たちの姿も目立つ。季節は春、場所は秋田市中通。つぼみの膨らむ桜並木と競い合うような長い列だ

▼75年前の4月、戦後初めての衆院選投票日の風景。女性参政権が認められた記念すべき選挙だ。生まれて初めて1票を投じた県内女性の熱意を翌日の本紙が伝えている

▼朝ご飯の後片付けや化粧を終えてから投票所へどっと繰り出す。汗だくで応じる係員への言葉にも、新たな国づくりに懸ける思いが垣間見える。「買い物で(待つことに)慣れてるからって、あまり待たせないでほしいわ」

▼本県選挙区では秋田市の和崎ハルがトップ当選。戦前、県内の婦人参政権運動を率いてきた。その権利実現は連合国軍総司令部(GHQ)の指令に基づくが、獲得のために闘った女性たちの思いをぶつけた選挙でもあった

▼「権利の上に眠るな」。共に参政権の獲得を目指すなど和崎と関係の深かった元参院議員、市川房枝が残した言葉だ。「空気」のように当たり前と思える権利も長い闘争の末やっと手にしたかけがえのないもの。性別を問わず、行使しないのはその上で眠り込んでいるのと同じということだろう

▼きょう衆院選が公示される。日々の暮らしは政治と切っても切れない関係にある―。新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)され続けたこの約1年半、それを思い知らされた。投開票の31日まで、目を皿にして各候補の主張を比べてみる。

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