社説:[2021衆院選]子育て支援 少子化歯止めに本腰を

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 新型コロナウイルス感染拡大によって経済的打撃を受けた子育て世帯への支援策も衆院選の大きな焦点だ。コロナ禍で出産や子育てへの不安が増大している。今年の出生数は80万人を割り込む可能性があるとも推計される。少子化問題は一層深刻さを増している。

 コロナ禍はパートや派遣といった非正規労働者が多い女性の雇用を直撃。失業や減収で困窮する家庭が少なくない。ひとり親世帯などの子どもの貧困問題も浮き彫りになった。与野党とも現金給付などによる支援に積極姿勢なのは当然だ。

 自民党は非正規雇用者や子育て世帯などへの経済支援を公約に掲げる。公明党は高校3年までの子ども1人当たり10万円相当支給を打ち出した。

 一方野党は、立憲民主党が子ども・子育て予算の倍増、児童手当の所得制限撤廃と高校卒業までの対象拡大を主張。共産党や国民民主党、れいわ新選組も児童手当をはじめ現金給付拡充を訴える。日本維新の会は教育完全無償化、子どもの数が多いほど税負担を減らす仕組み導入を主張。社民党も教育無償化を訴えている。

 ほかにも各党が低所得者やコロナ禍による減収世帯への支援策を掲げている。こうした現金給付はコロナ対策の一環で、困窮する子育て家庭に必要な支援であることに異論はない。

 ただ所得にかかわらず、一律支給するのが妥当かどうかは見解が分かれる。全ての子育て世帯を対象にすれば、国の少子化対策への取り組み姿勢を示すことにつながる。一方で支援が必要な家庭にこそ手厚く支給するという考え方もあろう。

 児童手当の対象拡大、教育無償化などの実現には、安定的な財源の確保が欠かせない。各党にはその裏付けを含めて丁寧に説明することが求められる。

 菅義偉前首相は文部科学省、厚生労働省、内閣府にまたがる子ども政策を一元的に扱う“司令塔”として「こども庁」創設に意欲を示していた。「子ども家庭庁」(公明)、「子ども省」(立民)など名前は違っても各党が目指すところは同じだ。

 5年前に与野党の国会議員有志が「子どもの貧困対策推進議員連盟」を発足した折にも浮上していた。新組織ができれば貧困や少子化を解決できるというものではない。それでも子どもを巡るさまざまな問題を打開する取り組みの強化につながることが期待される。

 多くの政党が最低賃金引き上げを強く訴えている。少子化克服のため、若い世代の賃金引き上げが重要であることは確か。子どもを持つ意欲を抱いてもらえるよう、所得水準向上を後押しすることが必要だ。

 安心して子どもを産み育てられる環境を早急に整えることが求められる。与野党は有権者の声にも耳を傾けつつ、真摯(しんし)に議論を重ね、少子化対策に本腰を入れなくてはならない。

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