社説:[2021衆院選]多様性社会 女性の政治参画加速を

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 年齢や性別、人種、性的指向などにかかわらず、それぞれの権利や価値観が尊重され、さまざまな人々が活躍できる。それが多様性を認める社会だ。

 多様性を根付かせる第一歩は、法律や政策の決定に携わる国会議員に女性を増やすことだ。日本の政治は依然男性中心で、女性参画は世界の流れに明らかに後れを取っている。

 前回2017年衆院選の女性当選者は47人。過去最多となった09年の54人に次ぐものの、全体に占める割合はわずか10・1%。国際比較では193カ国中、165位と低迷した。

 同様の傾向は、世界経済フォーラムが公表した21年の男女格差報告(ジェンダー・ギャップ指数)でも顕著だ。156カ国中、120位と先進7カ国(G7)で最下位。政治分野への女性参画の低さが影響した。日本の厳しい現実を有権者は直視する必要がある。

 今回の衆院選は、候補者数の男女均等を目指す「政治分野の男女共同参画推進法」が施行されて初めてとなる。ただ全候補者に占める女性の割合は、前回並みの17・7%にとどまる。与党の自民、公明は1割に満たず、野党第1党の立憲民主も2割弱。政府目標の「25年までに35%」には程遠い。

 自民で女性候補の擁立が進まない最大の要因は、現職の9割が男性で新人の「高い壁」になっていることだ。候補者の一定比率を女性に割り当てる「クオータ制」導入についても踏み込んだ議論を進めるべきだ。

 内閣府による20年度の男女共同参画調査では女性の立候補断念理由として、「仕事と家庭生活(家事・育児・介護)との両立が困難」が上位に挙げられた。家事などは女性の役割とする旧来の価値観のままでは、女性の政治参画はなかなか進まない。意欲と能力のある女性が力を発揮できるよう、各党には知恵を絞ってほしい。

 多様性を考える上で選択的夫婦別姓も重要テーマだ。夫婦別姓を認めない現民法規定を合憲とした6月の最高裁決定は「制度の在り方は国会で議論され、判断されるべきだ」と指摘した。国会は真摯(しんし)に受け止め、議論を加速させなければならない。

 各党の公約を比べると、選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民と、他党の違いは明らかだ。公明は導入推進を明記、野党各党は推進を強く打ち出した。

 時代の変化とともに夫婦別姓に対する世論は変わり、制度を受け入れる機運は高まっている。改姓に伴い不利益を被る人は少なくない。現実に即した制度の導入が望まれる。

 多様な考えの人が多いほど、社会には柔軟性が生まれる。お互いの価値観を認め合うことは何より大切なことだ。少子高齢化が進む中、活力を維持するには多様性の確保も重要になる。誰もが暮らしやすい社会の実現に向け、有権者自身も意識を変えていきたい。