【さきとく】出戸浜プラごみ層、波と風で堆積? 環境省も「珍しい」

秋田県潟上市天王の出戸浜で見つかったプラスチックごみの層に、県内外の専門家らが関心を寄せている。砂浜の断面に露出したプラごみが「地層」のように見え、環境省の担当者も「珍しい」と話す。専門家らの考察により、プラごみ層ができるメカニズムの一端が分かってきた。
プラごみ層に関心を寄せた一人が、岡山理科大の鎌滝孝信教授。昨年まで秋田大に在籍し、現在も北東北日本海側をフィールドに研究を続ける津波堆積物の専門家だ。研究の一環で先月下旬に本県入りし、プラごみ層を視察。記者も同行した。
鎌滝教授は、プラごみ層が「1983年の日本海中部地震の際に生じたのではないか」との仮説を立てた。そうであれば、津波の影響を記録した貴重な痕跡の一つになると考えたからだ。

しかし、視察を開始して程なくして「割と最近できたものかもしれないですね」と口にした。
鎌滝教授が手にしたのは、2000年ごろに発売された飲料のペットボトルキャップ。プラごみ層の一部から見つけた。プラごみ層は少なくとも、この商品の販売年以降にできたとみられる。
断面をよく観察すると、細かい砂と粗い砂が交互に層を成していた。
鎌滝教授は「波と風の作用で運ばれた細かい砂、粗い砂が時間をかけて層を成したと考えられる。海岸に掃き寄せられたプラごみを、大きな波で運ばれた砂が覆い、その後も砂が堆積して、プラごみが層として保存されたのではないか」と話した。
プラごみ層ができた時期ははっきりしないが、爆弾低気圧などにより、暴浪・高波が発生したタイミングが考えられるという。

潟上市の元中学校教員で、県内の化石や地質について研究してきた渡部晟さん(77)も本紙記事でプラごみ層を知り、現地を訪れた。形成過程については鎌滝教授と同じく「波と風の作用」との見方を示した。
この記事は「有料会員向け記事」です
有料会員(新聞併読、電子版単独、ウェブコースM・L)への登録が必要です。ウェブコースS(無料)では全文表示できません。