北斗星(11月23日付)

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 「動詞の森」って何だろう。開催中の展示会のタイトルの言葉に引かれ、美郷町学友館に足を運んだ。「引く・省く」「飾らない」「問う」「ゆだねる」などの「動詞」が、大人の背丈より少し高い15本の茶色い筒に書かれていた。中には文房具や衣服、傘などが入っている

▼秋田市にも店舗がある「無印良品」の商品。動詞はそれぞれの商品のコンセプトを表している。いわば、ものづくりの動機だ。会場には筒が木のように立っているから「動詞の森」。来場者は森を散策している気分になる。見せ方で商品紹介が現代美術展に変わる

▼無印良品は日本人がぜいたくを追い求めた1980年に誕生。時代の流れに「これでいいのではないか」と、簡素で良質な商品を提案した。問題意識を備えているから美術展にもなりやすい

▼展示会は、第一線で活躍する人が講演する町の生涯学習講座がきっかけ。無印良品の立ち上げから関わってきたコピーライター小池一子さんが昨年、オンラインで講師を務めた縁を生かした

▼地域の資料館や美術館はその土地に縛られがち。だが、ちょっとしたつながりと柔軟な考えが施設を面白くする。町はこれまで、提携する日本航空やスポーツ用品のヨネックスと協力。空港のない町で飛行機を深く知り、バドミントンの歴史を学ぶ機会をつくった

▼所蔵品に縛られず、斬新な切り口で外とつながれば可能性は無限に広がる。見る喜び、知る楽しさを生むのは人の発想と気付かされる。

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