社説:国会議員文通費 抜本見直しで襟を正せ

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 衆院選の当選は月末なのに、新人議員らに支給された「文書通信交通滞在費(文通費)」は丸々1カ月分の100万円―。こんな道理に合わない公費支給がまかり通っていたことに驚かされる。国民の間から批判の声が上がっているのは当然だ。

 文通費は国会議員に対し、歳費(給料)とは別に支給される非課税の手当。使途報告や残金の返還義務がなく「第二の歳費」とも言われる。今回のケースでは通常の歳費と異なり、日割りではなく満額の支給。口をつぐんで受け取ってきた議員らに対しては残念というほかない。

 日本維新の会の新人衆院議員が今月、会員制交流サイト(SNS)へ10月分文通費の満額支給を疑問視する投稿をしたのが問題化の発端。これを受けて維新が見直しの口火を切った。

 これに対して与党や他の野党も一斉に見直しの姿勢を表明。「国庫返納」や「日割り支給」ができる法改正などを打ち出している。しかしそんな小手先だけの対応では国民の納得は得られないだろう。

 この問題を強く批判していた維新幹部がかつて月初めに議員辞職して1カ月分の文通費を受け取っていたことがその後、明らかとなった。今に始まったのではない根の深い問題であることを示した格好だ。

 文通費に「交通滞在」という名目がありながら、国会議員には地元と東京を往復する目的で支給されるJRや航空各社の通称「議員パス」がある。これは交通費の二重取りにならないのか。このうち無料航空券(10月分、年度内使用可)が月末に当選した新人議員らに支給されたことにも疑問がある。

 過去には政策調査などを目的に地方議員に支給される政務活動費の不正問題で関西の県議が有罪判決を受けた事例もある。一方で国会議員の文通費にはそもそも使途報告すら義務付けられていない。公費にもかかわらず、チェック機能がないというのは信じられないことだ。

 与野党の対応の素早さは、問題の火消しを急いで最小限の修正で済ませようとの姿勢とも映る。支給された文通費の返還や日割り支給への変更だけでなく、根本からの見直しが必要だ。

 野党の中には、多くの地方議会が義務付ける政務活動費の使途報告や不使用分の返還などを文通費にも求める声がある。一方、政党交付金の見直しこそが必要だとの主張も。度重なる政治とカネの問題で政治不信が募っている。国会が自ら襟を正す姿勢が問われている。

 2年近くにも及ぶコロナ禍で国全体が大きなダメージを受けている。言うまでもなく国民生活と経済の立て直しは急務だ。

 2011年の東日本大震災では、その復興財源に充てるため国会議員歳費を削減した。いまもまた国会に国民と痛みを分かち合う姿勢が必要な局面ではないか。身を削る抜本的な制度の見直しが求められる。

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