社説:オミクロン株 市中感染想定し対策を

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 世界で急拡大する新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、国内でも複数の感染が確認された。いずれも海外から入国した際の空港検疫で判明。水際対策を徹底するのと同時に、市中感染を想定した対策も進めなければならない。

 オミクロン株は南アフリカで先月下旬に確認されてから短期間のうちに感染が拡大。欧州ではアフリカ南部への渡航歴がない人からも検出されている。

 日本政府は先月30日から全世界を対象に外国人の新規入国を禁止した。だが直後に国内流入2例が立て続けに判明。うち1人の国籍は明らかにされていないが、いずれも水際対策が強化される前の入国だった。政府は先手を打ったはずだったが、結果的に間に合わなかった。

 感染者と同じ飛行機に搭乗し、空港の検査で陰性だった人は自宅などで待機している。外出は原則認めていないが、食料など生活必需品を買うために出掛ける可能性は排除できない。検査結果も100%正確とは言えず、市中感染のリスクは潜む。

 水際対策の徹底は必要だが、流入を完全に防ぐのは難しい。流行「第6波」の要因にならないよう、市中感染が発生した際に素早く把握し、封じ込めなければならない。

 変異株の種類を区別できる検査能力、態勢の強化が急がれる。迅速な検査法が確立されれば、濃厚接触者を介した感染拡大防止策も効果が高まるだろう。

 患者の急増に対応できる医療体制も重要だ。政府は「第5波」の時よりも3割多い約3万7千人が入院できる体制を都道府県に働き掛けてきた。第5波の際にはベッド数はあっても人手が足りないことなどから入院できない事態も起きた。机上の数字ではなく、実効性のある病床数を確保したい。

 オミクロン株の特性は、まだ不明な点が多い。従来のワクチン接種によってできる抗体から逃れやすく、治療薬が効きにくいのではないかと懸念されている。同株に対応したワクチンや治療薬の開発が急務だ。

 一方、現状で最良の防御策はワクチンの3回目接種だとの見方もある。国内では今月から3回目接種が始まった。医療従事者を対象に先行実施し、年明け以降に65歳以上の高齢者らに広げる。

 2回目接種から原則8カ月以上の間隔を置くのが基本方針だが、政府は1日、前倒しを検討する意向を示した。従来のワクチンがオミクロン株の感染、重症化の防止にどこまで有効か検証を急ぐとともに、必要に応じてできるだけ多くの人に前倒し接種を実施したい。

 国内の新規感染者数は第5波が収まってから、低い水準が続いている。人々の活動が活発になり「コロナとの共存」へと社会が動きだしたところだが、第6波の兆候があれば再び一定の行動制限に踏み切ることをためらうべきではない。

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