社説:国会代表質問 政治の信頼回復の場に

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 岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。野党は新型コロナウイルス「オミクロン株」の水際対策や18歳以下への10万円相当給付などについてただした。

 所信表明演説で首相は「信頼と共感を得ることができる、丁寧で寛容な政治を進める」と決意を述べたが、代表質問での答弁は「信頼と共感」を得るのに十分とは言い難かった。岸田首相にとっては今国会が初の本格論戦であり、政治への信頼を回復できるかの試金石となる。きょう、あすの代表質問や13日からの予算委員会での議論の深まりが求められる。

 野党第1党の立憲民主党は先月末に選出されたばかりの泉健太新代表が登壇。独自の政策を提案しながら首相の見解をただし、対決路線から政策立案型への転換をアピールした。

 オミクロン株の水際対策の一環として、国土交通省は国際線の新規予約受け付け停止を航空各社に要請。海外在住日本人が帰国できなくなることから要請から3日後、一転して撤回し、海外の日本人や航空会社の混乱を招いた。

 経緯を問われた岸田首相は「閣僚会議では予約停止の話は出ていない」と述べただけ。重要な政策決定過程について責任の所在を明確化し、丁寧に説明すべきだ。

 10万円相当給付を巡り、5万円分をクーポンで配布する政府方針に対し、泉代表は事務費が膨らむことを問題視。現金一括支給を認めた上で補正予算案を組み替え、クーポン配布の事務費分を生活困窮者向けの給付に上乗せすることを提案した。

 岸田首相は「自治体の実情に応じて現金給付も可能」とする一方、どのような場合に現金給付できるか、具体的な方法を検討する方針を明らかにした。補正予算案の編成段階での検討が不十分だったことを認めたも同然であり、その責任は重大と言わざるを得ない。

 在職1日でも1カ月分100万円が支払われて問題になっている国会議員の「文書通信交通滞在費」について、泉代表は日割り支給への変更や使途公開を可能にする法改正が必要と主張。岸田首相は「各党がしっかりと議論し、合意を得る努力が必要」と述べるにとどめた。

 安倍・菅政権では森友学園を巡る公文書改ざんや、政府主催の桜を見る会に安倍晋三元首相の地元後援会員らが多数招かれた問題などが国会で追及された。安倍氏は虚偽答弁を少なくとも118回繰り返すなど、国会軽視の姿勢があらわだった。

 岸田首相は自民党総裁選の出馬表明で、国民の政治不信を指摘し「民主主義の危機」を強調した。国民の代表である国会に真摯(しんし)に向き合い、民主主義の機能を回復する大きな責任がある。国会は政府が広く国民に向けて政策を説明し、理解を得る場でもあることを肝に銘じなければならない。

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