社説:外旭川地区構想 秋田市は具体像明示を

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 秋田市は外旭川地区のまちづくり構想を巡り、事業パートナーとなる民間事業者を公募するための関連予算案を開会中の市議会定例会に提出した。議会からは構想に具体性が見えないことに疑問の声が上がる。市は目指すまちづくりの方向性を具体的に明示すべきだ。

 外旭川地区では2012年、流通大手イオンのグループ会社イオンタウン(千葉市)の進出構想が表面化。その後、進出構想地に隣接する市卸売市場の老朽化に伴う建て替え、サッカーの新スタジアム整備の動きも絡み、先の見えない状況が続いてきた。

 イオンタウン構想に対し穂積志市長は当初、市が目指すコンパクトシティーとは相いれないとして、否定的な態度を取り続けていた。中心市街地の商業関係者からの反発も強く、構想はなかなか進まなかった。

 一方、市内ではサッカーJ2ブラウブリッツ秋田のスタジアム建設問題も浮上。整備主体も定まらないまま場所の議論が先行する中で穂積市長は昨年初め、外旭川地区が「有力な候補地の一つ」との見解を示した。

 今年に入ると市長は、民間事業者から開発提案を募ってまちづくり構想を進める考えを明らかにした。卸売市場改築の必要性や、スタジアム整備の検討が進んでいることなどを理由に「新たなまちのモデル地区をつくる」などと述べた。

 4月の市長選では、外旭川地区のまちづくりを公約の一つに掲げて4選を果たした。しかし、従来のコンパクトシティーの考え方との整合性などについて説明が十分とはいえなかった。

 民間事業者公募の関連経費を盛り込んだ予算案は、外旭川地区のまちづくりに関する初めての正式な議案であり、市議会で徹底的に検討、議論する必要がある。

 市が示した公募の概要は「若者が将来に希望を持ち、『これからをこのまちで暮らしていきたい』と感じられるような魅力のあるまち」を目指すとしている。だが、そのための方策は「卸売市場再整備と新スタジアム整備を核とする先端技術を活用したまちづくり」などとあるだけだ。

 これでは、市が目指すまちづくりの姿を読み取るのは難しい。市議から構想全体の曖昧さを問う声や「民間への丸投げだ」などの批判が上がるのも当然だ。

 予算案が可決されれば、市は年明けに公募を始める方針。3月末にも事業者が決まるが、議会のチェック機能が十分に働かないうちに事業の方向性が固まってしまう恐れもある。

 市全体の将来にも影響する構想であり、拙速は禁物だ。まちづくりの主体である市が外旭川地区を含め市全体の将来を見通して、具体的な構想を示すべきだ。市議会、そして市民の理解を得る一層の努力を期待したい。

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