ローカルメディア列島リレー(28)bozzo
全国のローカルメディアの作り手が、ローカルならではのメディアの形や取り組みについて綴るリレーエッセイです。紙もウェブも、看板やアートプロジェクトだって「ローカルメディア」に?! 特色あるローカルメディアの担い手たちのアイデアと奮闘の記録です。
竹野エクセルギーハウス!?
コロナで舞台表現の場が凍結、撮影の仕事が大方キャンセルとなり、漠然と考えていた「移住」を具体的に。東京を離れて兵庫県の日本海側、豊岡は竹野に来たのが、2021年の4月。江戸時代から北前船で栄え、当時の町並みそのままな、黒い焼杉板の木造家屋が肩寄せ合う美しい風土、竹野。夏は関西一の海水浴場としてにぎわう自慢の白浜に一目惚(ぼ)れし、築80年の古民家を譲り受けた。
竹野は「一町一川」と言って、川の源流から河口までがひとつの町に収まっている稀有(けう)な土地柄。自然の力を最大限活用した究極のエコハウスとして、建築家の黒岩哲彦さんが提唱している『エクセルギーハウス』の風と水と光を生かした仕組みを古民家に組み込めば、きっと竹野の風土や文化再発見につながるはず! と、黒岩さんとプロジェクトを始動。屋根裏や床下など見えない部分に手を加え、改修を進めると、80年前の竹野の豊かな営みが見えてきた。地元の木を使い、地元の大工と左官が成した丁寧な仕事は、現代の迷走ぶりを際立たせるスグレモノだった。
温故知新とはこのこと。過疎化が進み疲弊していく地方にあって空き家問題は切実だからこそ、昔のワザに光を当て、現代のワザを絡めて古民家再生。地元の林業家から木を買い、地元の大工さんや工務店さんと連携して、セルフビルドな『エクセルギーハウス』を実現! 竹野の風土とともに町並みがあること、この古民家の営みが竹野活性のヒントになるとの体感から、築80年の古民家を愛で、竹野の文化発信の【ローカルメディア】に育てようと日々奮闘中。
bozzo(ボッゾ)|舞台写真家
1991年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。カメラ助手、グラフィックデザイナー、アートディレクターと、職と土地を流転し、2009年写真家として独立。沖縄から東京…からの、2021年春、兵庫県豊岡竹野へ。ダンス、演劇、音楽等の舞台撮影が主。「写真には見えないものを見せる力がある」が信条。