社説:イージス説明会 防衛省の姿勢問われる

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 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の秋田市への配備計画断念について防衛省はきょう23日、断念後初めてとなる住民説明会を勝平地区コミュニティセンターで開く。東北防衛局長らが出席し、説明に当たる。

 勝平地区の住宅地に近い陸上自衛隊新屋演習場をなぜ配備候補地に選んだのか。断念に至るまでには何があったのか―。地元には、こうした疑問が今も残っている。防衛省は事実や経緯をつまびらかにし、説明責任を果たさなければならない。

 河野太郎前防衛相は昨年6月、佐竹敬久知事らに配備断念の方針を伝えた際、「地元の皆さまにしっかり説明したい」と述べた。だが、住民説明会は新型コロナウイルスの感染拡大を理由に先送りされてきた。県や秋田市が昨年から早期に開くよう要請していただけに、今回の開催はようやくという感が強い。

 開催日程が明らかになってからも開催回数や会場の広さに関して地元の反発を招いている。もう一つの配備候補地だった山口県では5回開催されるのに対し、本県では1回だけ。想定する参加者数も約100人にとどまるからだ。地元住民から「秋田を軽視しているのか」との声が上がったのも無理はない。

 市民団体や地元自治会は複数回の開催や広い会場への変更を要請。佐竹知事も、より多くの人が参加できる会場に変更するべきだとの考えを表明した。それでも、防衛省は方針を変えていない。地元の意向をくみ、柔軟に対応するべきだった。

 きょうの説明会では、昨年9月に公表した配備断念に関する検証結果に基づき、住民に経緯を説明するという。検証結果では断念理由について、迎撃ミサイルの推進装置「ブースター」を一定の地域に確実に落下させられないという技術的な問題が判明したことを挙げていた。

 住民側が最も問題視した新屋演習場と住宅地の近さについては一切触れておらず、この点を最終的にどう評価したのかも明らかになっていない。明確な説明が求められる。それなくして幕引きは許されない。

 佐竹知事は「新屋演習場にああいうものは造らないと明言してもらいたい」として、危険を伴う施設を今後も整備しないとの言質を防衛省に求めている。住民にも同様の声がある。これにどう答えるかも焦点だ。

 地上イージス配備計画を巡っては、新屋演習場を適地とした調査報告書に事実と異なるずさんなデータが記載されていた問題が発覚。報告書の説明の場で防衛省職員が居眠りしたことも重なり、批判が高まった経緯がある。

 今回の説明会に向け、岸信夫防衛相は「地元の皆さまに誠意を持って説明したい」と語った。その言葉通りに住民に向き合い、説明を尽くさなければ理解は得られないだろう。防衛省の姿勢が改めて問われる。

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