社説:新年を迎えて 「コロナ後」を見据えよ

 2022年を迎えた。新型コロナウイルスとの闘いも3年目。ワクチン接種、治療薬開発などが進み、コロナと共存しつつ、日々の暮らしや経済が日常に近づいている実感もある。コロナ後の社会を見据え、本来向き合うべき国や地域の重要課題の解決へ前進する1年にしたい。

 流行「第3波」渦中だった1年前の年末年始に比べ、「第5波」後の秋以降は落ち着いた状況だった。ところが新変異株の「オミクロン株」流行などで感染が再び拡大しつつある。帰省客など人の流れが増えている。今後、急拡大する恐れもあり、気は緩められない。

 オミクロン株は2回のワクチン接種を済ませていても感染する事例が珍しくない。こうしたこともあり、政府は昨年12月から3回目の接種を開始。変異を繰り返すウイルスに対し、臨機応変の対応が求められる。

 先進国が3回目の接種を進める一方、途上国にはワクチンが行き渡らない。世界保健機関(WHO)が掲げた「加盟国の人口の4割にワクチン接種完了」の目標は、92カ国・地域で達成できなかった。自国第一の姿勢ではパンデミック(世界的大流行)の収束が遠のく現実がある。

 新型コロナ対策に予算面で備えるためなのだろう。22年度一般会計予算案は107兆5964億円と過去最大を更新。財政再建の議論は後方に押しやられた感がある。コロナで傷んだ日本経済を立て直すための経済成長優先は理解できる。しかし厳しさを増す財政を再建する議論を続けなければ、国民の将来不安が増して消費不振も解消されない。

 コロナ禍の対策が最優先とされる中でも、国の将来を左右する課題をなおざりにしてはならない。人口問題もその一つ。コロナ禍で婚姻数や出生数が減少している可能性もあり、少子化への影響が懸念される。

 人口減少は本県など地方ほど顕著だ。21年12月現在の県人口は94万人台。17年4月に100万人を割ってから後も毎年1万人以上が減っている。少子高齢化に歯止めをかける有効な手だては見いだせていない。

 東京圏への一極集中は一向に是正されない。安倍政権以来の「地方創生」の看板はすっかり色あせてしまった。コロナ禍で企業や住民の地方移転の動きも一部見られるが、コロナ後も続くかどうかは見通せない。

 岸田政権は「デジタル田園都市国家構想」を地方政策の柱に据えている。地方のデジタル分野のインフラが後れを取ったままでは都会との格差解消が図れないのは確かだ。

 デジタルで地方の経済や暮らしをどう向上させるのか。その具体策はこれからだ。高齢者を取り残すことがあってはならない。インフラ整備以外の課題も山積している。

 コロナ禍で停滞気味だった外交も活発化するだろう。ただ米中対立の激化で難題も多い。2、3月に北京冬季五輪・パラリンピック開催、秋には日中国交正常化50年を迎える。両大国の間で日本は気の抜けない1年になりそうだ。冷え込んだままの日韓関係の改善も大きな課題。隣国との関係こそ良好に保つ努力が必要だ。政権の外交力が問われる。

 目の前のコロナ対策は迅速に、国の将来に関わる多くの重要課題は腰を据えて―。難しいかじ取りが求められる。コロナ禍で得たさまざまな教訓も生かし、改めて国や地域の未来図を描かなくてはならない。

お気に入りに登録
シェアする

秋田の最新ニュース