社説:集落営農組織合併 地域農業守る選択肢に

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 美郷町と大仙市の農事組合法人が来月合併する。いずれも集落内の農地を集め、構成員の地元農家や従業員らが農作業に当たる集落営農組織だ。合併によって経営基盤の強化を目指す。

 法人化した集落営農組織同士の合併は県内初。農業を巡っては後継者不足や米価低迷など課題が多い。地域農業を守るモデルケースとして、早期に合併効果を示すことを期待したい。

 合併するのは美郷町土崎の「ニューファーム千畑」(構成員27戸、栽培面積32ヘクタール)と大仙市板見内の「本郷農園」(10戸、40ヘクタール)。市町は異なるが、双方の事務所は直線距離で3キロほどしか離れていない。

 ニューファームは2003年設立。コメのほか、レンコンやセリなど約10品目を栽培している。コメ以外の作物が販売額の半分を占め、大手スーパーや卸業者への独自の販路を持つ。一方、07年設立の本郷農園は販売額の8割以上がコメで、出荷先はほとんどが地元JAだ。

 合併協議は、県産あきたこまちのJA概算金が6年ぶりの減額となった一昨年秋にスタート。稲作中心のため収入減を懸念した本郷農園が相談を持ち掛け、ニューファームが合併を提案した。本郷農園は構成員のうち農作業を行っているのは2人だけで、後継者不足の悩みもあったという。

 合併に伴う規模拡大によりコストダウンできるほか、本郷農園の農産物をニューファームが開拓した販路に乗せることで販売力強化も期待できる。大切なのは、こうしたメリットをさらなる規模拡大や新作物導入につなげ、売り上げを伸ばすことだ。

 高齢化に伴う離農者の増加は今後も予想される。規模拡大、利益増加により給与水準が向上すれば、後継者確保を進める上でも有利に働くのではないか。

 集落営農組織の多くは国の補助金の受け皿となったり、圃場整備後の農地を効率的に利用したりするのが目的。県によると、昨年3月末時点で県内には任意組織を含め703の組織がある。このうち法人は07年の67から353に増加。経営強化に向けて法人化が進んでいる。

 後継者確保や経営安定化、農産物の価格変動への対応など課題は山積している。法人化の後も、常に経営基盤強化に取り組む必要がある。

 集落営農組織には近所同士の連帯感やそれぞれの習慣がある。農作業の進め方、農地を所有する構成員に払う土地利用料の額など異なる点も多い。合併協議は簡単ではないかもしれないが、地域の農業を守る上で合併は有力な選択肢となるはずだ。

 今回の協議では、県が市町、JA、金融機関など関係機関との調整役となり、合併に向けた事務手続き、新法人の経営に関する助言などの支援を行ってきた。合併後も細やかな支援を期待したい。今回培ったノウハウを、県内の他の集落営農組織の合併にも生かしてほしい。

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