社説:まん延防止追加 社会基盤の維持不可欠

 政府は新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染急拡大を受け、首都圏を含む1都12県にまん延防止等重点措置を適用することを決めた。期間は21日から来月13日まで。既に適用中の沖縄など3県と合わせ、対象は16都県に拡大する。

 デルタ株が主流だった昨夏の流行「第5波」で生じた医療提供体制の逼迫(ひっぱく)を再び起こしてはならない。さらに医療や福祉、物流などの現場で働くエッセンシャルワーカーの感染や濃厚接触を防ぎ、社会経済活動の基盤を維持することが不可欠だ。

 全国の新規感染者数は1日時点で500人台だったが、19日には4万人を超え過去最多となった。第5波では1万人を超えてから2万人に達するまで約半月。かつてない感染拡大の速さがオミクロン株の特徴だ。

 第5波では入院できず自宅療養中に亡くなる例が相次いだ。オミクロン株は重症化率が低いとされるが、感染者急増が続けば重症者も増加し、医療現場が対応できなくなる恐れもある。

 岸田文雄首相は就任時から「最悪の事態」を想定して「先手」の対応を進めると強調。病床数を第5波の時より3割増やすなどの対策を講じてきた。

 しかし現在の感染急拡大は政府の想定を上回っているのではないか。重点措置の追加適用に伴いどんな具体策を講じるのか、岸田政権の正念場と言える。

 重点措置では、知事の判断で飲食店の酒類提供停止などが可能になる。政府の基本的対処方針分科会の尾身茂会長は、これまでの感染事例には大人数、大声、不十分な換気、不適切なマスク着用などが共通すると指摘。4人程度で静かに会食し、話すときはマスクを着けるなどすれば「店を閉める必要はない」とした。オミクロン株の特性に応じた対策で効果を上げたい。

 政府はこれまでもワクチン追加接種の前倒しや、12歳未満の接種の開始方針を表明してきた。必要なワクチン量を一刻も早く確保し、自治体が準備を進められるよう確実な供給日程を示すべきだ。政府は自衛隊運営の大規模接種センターなどで接種を加速する構えだが、早期実現が求められる。

 沖縄県では医師や看護師らが感染したり、濃厚接触者になったりして出勤できなくなり、医療機関が救急医療の受け入れを停止するなど、逼迫の様相を呈している。エッセンシャルワーカーはこれまで、緊急事態宣言中でも通常通りの業務を継続してきた。社会を支える職種の人々をコロナから守り、社会全体が混乱に陥る事態を何としても避けなければならない。

 政府は濃厚接触者の自宅待機期間を14日から10日に短縮。エッセンシャルワーカーについては6日目の検査で陰性が確認されれば待機を解除できるとするなど、隔離の条件緩和を進めてきた。検査体制の拡充などを進めることで感染防止と社会経済活動を両立させるべきだ。

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