社説:防災士の育成 増加促進へ負担軽減を

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 記録的な豪雨や巨大台風など想定を上回る災害が頻発する中、地域の防災活動を担う民間資格「防災士」の重要性が高まっている。避難や救助の知識と技術を持ち、災害時の自助・共助の要ともなる存在だ。

 ただ、本県では取得者数が伸び悩んでいる。県や市町村は資格取得を後押しする仕組みづくりを早急に進めるべきだ。

 防災士の資格は1995年1月の阪神大震災の教訓を踏まえ、災害時に地域で活躍できる人材を育成しようと、NPO法人日本防災士機構が2003年度に創設。地域の防災活動だけでなく被災地支援に携わることが想定されており、全国で22万人近くが認証を受けている。

 平時には家族と共に災害に備えた備蓄や避難経路の確認などに取り組み、職場や地域にも「備え」の輪を広める。地震や火災などが起きた場合は、住民と協力して救助や初期消火、避難所運営に率先して関わる。こうした防災リーダーが増えれば地域の防災力が高まり、被害を最小限に抑えることにつながるだろう。

 同機構によると、本県の昨年末時点の防災士は1345人。青森、岩手両県の半数以下で、東北6県では最少。全国でも4番目に少ない。県民の間で防災士への関心がいまひとつ高まっていない状況は明らかだ。

 防災士になるには、研修講座受講後に試験に合格し、さらに救急救命講習を受けた上で防災士としての登録申請をする必要がある。受講や試験には計6万~7万円かかるという。研修や試験の会場がある仙台市や東京に行く必要があり、その交通費や宿泊費もかかる。

 県はこれまで、こうした経費の半額を助成してきた。県民の資格取得が進まない背景には、経費の問題に加え、遠隔地で受講、受験する負担の大きさがあるとみられる。防災士を増加させるには、一層の負担軽減が必要ではないか。

 東北で研修や資格試験を実施する養成機関がないのは本県だけだ。県は昨年12月の県議会で、同機構から認証を受けた養成機関を新設する方針を示した。市町村とも連携し、資格を取得しやすい環境を一日も早く整えるべきだ。

 岩手県では県議会議員がまとまって講習を受けた。全国的にも職場などの単位で取得を目指す動きが増えている。一方、行政から助成を受けて資格を取得したのに、活動につながっていない例もあるという。県や市町村は平時から防災士と連携を深め、地域の防災力向上を進めてほしい。

 本県では高齢化に伴って消防団員の減少が続いている。防災に関わる民間人の育成は社会的要請といえよう。ただ防災士の育成は手段であって目的ではない。災害時には「自分の身は自分で守る」「地域は地域で守る」が第一。防災士にはその中心となることが期待される。

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