社説:太陽光パネル 再資源化、仕組み確立を

 使用済みの太陽光発電パネルを再資源化する取り組みが、月内にも県内で始まる。2030年代には大量のパネルが寿命を迎えて処分されると予測される。それに向け、パネルに含まれる金属などを繰り返し資源化する仕組みを全国に先駆けて確立したい。

 再資源化を手掛けるのは非鉄大手や金融機関、県などでつくる県資源技術開発機構(小坂町)。20、21年度に環境省と実証試験を実施し、再資源化のための処理システムづくりを進めてきた。

 パネルの回収業務を専門に手掛ける管理組織も設立。再資源化が盛んな欧州の規格に適合すると認められた。

 管理組織は県内外の産業廃棄物処理業者などと連携してパネルを回収。パネルからアルミフレームやガラスを取り外した後に残る太陽電池は、DOWAグループのエコシステム花岡(大館市)が受け入れ、粉砕する。

 さらに小坂製錬(小坂町)のリサイクル炉で処理され、銅、銀、鉛が抽出される。金属を再資源化するだけでなく、廃棄物を減らす意味でも画期的なシステムだ。

 使用済みの携帯電話やデジタルカメラなど「都市鉱山」から金属を取り出す技術は、同グループの“お家芸”と言える。太陽光パネルの再資源化もその技術を応用するものだ。

 太陽光発電は、12年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)をきっかけに全国で急速に広がった。太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされる。

 環境省の推計によると、18年時点での排出量は約4400トン。30年代後半には耐用年数に達するパネルが急増し、年間50万~80万トンに上る見込みだ。

 現状では、そうしたパネルの多くが廃棄物として最終処分場に埋め立てられている。再資源化の仕組みを確立しない限り、埋め立て量は増え続け、処分場の短命化は避けられない。使われなくなった発電設備の放置や不法投棄が増えることも懸念される。

 太陽光パネルには鉛やヒ素など有害物質を含むものもある。それらが漏れ出して周辺の土壌や水を汚染し、深刻な環境問題につながらないよう、適正な処理を促すための仕組みづくりを急がなくてはならない。

 経済産業省は、将来のパネル廃棄費用を発電事業者に事前に積み立てさせる制度を今年7月にもスタートさせる方針だ。開発機構によるパネルの再資源化は、国の政策や国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の理念とも合致する。

 本県は洋上風力発電や地熱発電などに有利な条件に恵まれ、再生エネ導入の先進地として全国から注目されている。太陽光パネルの再資源化に関しても、長年培ってきた技術力を生かして「秋田モデル」を確立し、発信を強めたい。

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