社説:押尾川部屋始動 相撲界の活性化に期待

 大相撲・元関脇豪風の押尾川親方(北秋田市出身)が、閉鎖した尾車部屋から独立して「押尾川部屋」を立ち上げた。2年ぶりに大阪で開かれる3月の春場所が初陣となる。

 最近の相撲界は、初場所で3度目の優勝を果たした御嶽海が大関に昇進したほか、伸び盛りの若手が活躍を見せ、活気づいている。新たに誕生した押尾川部屋には相撲界をさらに盛り上げていってもらいたい。

 押尾川部屋には、十両の矢後ら3人の力士や床山など計6人が移籍。両国国技館がある東京都墨田区内にビルを建設中で、4月に開所する予定となっている。小所帯だが、ここからどうやって若い力士たちを育て上げ、部屋を大きくしていくかが楽しみだ。押尾川親方の手腕に注目したい。

 押尾川親方は現役時代、身長約170センチと力士としては小柄ながら、迫力のある突き、押し相撲で多くのファンを魅了した。幕内在位86場所。地道に稽古を重ね、何度もけがに苦しみながらも39歳まで堂々、関取(十両以上)として活躍した。

 期待されるのは、親方同様に稽古熱心で闘志あふれる力士を育成することだ。本県出身者では2019年の豪風引退後、関取が不在となっていることもあり、郷土力士の活躍を心待ちにする声が上がる。

 親方はかねて「勝負強い力士を育てたい」と語っている。体格差があっても十分勝負ができるということを身をもって示してきただけに、その言葉には説得力がある。長年にわたる土俵生活で磨き上げた技術と豊富な経験を生かし、後進の指導に当たってほしい。

 本県の福祉施設への慰問を積極的に行うなど、社会貢献活動に人一倍熱心に取り組んだことでも知られる。ふるさとのファンとの触れ合いを大切にし、国技である相撲の魅力を地道に伝えてきた。今後とも、その真摯(しんし)な姿勢を大切にして活動することを望む。

 本県出身者による相撲部屋の設立は、1952年に井川町出身の元幕内大ノ海が芝田山部屋を興して以来、70年ぶりという。実に画期的なことだ。

 部屋の運営となると、育てる力士一人一人の生活が懸かってくる。責任は重い。それでも相撲界の発展を目指し、部屋を立ち上げることを決断したことに、並々ならぬ気概を感じずにはいられない。

 相撲界の発展に最も大切なのは取組の充実だ。会場に足を運んで各力士の熱い取組を見た感激が忘れられず、もう一度生で見たいと足を運ぶ。そんなファンを一人でも二人でも増やしたい。

 新型コロナウイルス禍が長期化する中だけに、感染対策を含め、部屋の運営は容易ではないだろう。自身と力士らの健康管理に十分気を配りながら土俵を盛り上げ、相撲界の活性化にまい進してほしい。

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