社説:民有林の再造林 林業再興の足掛かりに

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 県は2022年度、民有林の伐採跡地に苗木を植える「再造林」の拡大に力を入れる。個人の森林所有者に代わり、地域の山林に精通した森林組合や林業会社が伐採や植林、手入れを担う仕組みを導入。森林資源の循環利用を目指す。この事業により林業の収益性を高め、再び成長産業に発展させるための足掛かりとしたい。

 本県の民有杉人工林の半分は、利用に適した樹齢50年を超えており、計画的な伐採や植え直しの重要性が増している。ただ近年は、伐採が行われた面積の1~3割でしか再造林が進んでいないのが実情だ。

 背景には山村の過疎化や林業の衰退がある。所有者の高齢化や後継者不足に加え、長年にわたる木材価格の低迷も相まって、手間や費用のかかる植林や手入れを個人レベルで進めるのが難しくなっている。木が成長しても循環利用されず、放置されたままの山林も目立つ。

 再造林の停滞が続けば、本県の国内有数の森林資源は先細りしていくばかりだ。伐採跡地の荒廃により、土壌に水を蓄えて洪水を緩和する水源涵養(かんよう)機能は損なわれ、洪水や土砂崩れのリスクが高まる事態も招きかねない。これらを回避する意味でも、伐採と再生を繰り返す循環利用を根付かせる必要がある。

 県が22年度から取り組むのは、森林組合や林業会社に民有林の管理を委ねる「森林経営の集約化」だ。組合や会社は、林地の扱いに悩む所有者と契約を結び、低コスト化と採算性向上のノウハウを生かして約10年にわたって植林や下刈りを代行。林道からの距離などの条件が再造林に適しているかどうかを調べたり、造林から伐採までにかかるコストを算定したりして、所有者にその後の事業についての判断材料を提供するという。

 県は25年度までに伐採地に占める再造林面積の割合を5割に引き上げる目標を掲げる。組合や会社と森林所有者には必要経費の一部を助成する方針で、22年度一般会計当初予算に8760万円を盛り込んだ。

 近年の木材市場では、海外の需要増を背景に輸入材価格が高騰する「ウッドショック」が起きている。木材業界では輸入材から国産材への転換を進めるなど、リスク分散を図る動きが活発だ。本県も県産材の供給量拡大を推し進めるべきだろう。

 伐採から植林、育成に至るサイクルが定着すれば、森林の若返りが進むはずだ。成長期の木は温室効果ガス吸収量が増えるとされる。生育が従来の苗木より早い品種「エリートツリー」も取り入れ、脱炭素化につなげていく観点も欠かせない。

 本県の杉人工林の面積は1969年から始まった造林運動などにより全国一を誇る。ただ、木を切り出しにくく再造林が難しい急傾斜地や雪深い場所も少なくない。過去の造林政策を検証し、次代に森林資源を残すための方策を見いだすべき時だ。

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