社説:新品種サキホコレ 栽培技術の普及徹底を

 県が品種の交配から9年をかけて開発した高級ブランド米「サキホコレ」が今年、本格デビューする。一部の農家に限定して先行栽培された昨年より、作付面積は大幅に拡大する。

 競争の激しいブランド米市場で勝ち抜くためには、高品質の米を作る栽培技術の普及を徹底させなければならない。それと併せて戦略的な売り込みを図ることが重要だ。

 サキホコレは「コシヒカリを超える極良の食味」を目指して開発された。日本穀物検定協会(東京)が今月発表した2021年産米の食味ランキングでは、話題性のある「参考品種」として、最高評価の特Aに選ばれた。

 昨年の生産を担ったのは「あきたこまちの1等米比率が9割以上」などの要件を満たした農家。高い生産技術により、県が思い描いた通りの結果に結び付いた。サキホコレが今後、トップブランドの一角に躍り出るには、22年産以降も特Aを獲得することが至上命題と言えよう。

 県秋田米ブランド推進室によると、今年は農家637人が742ヘクタールで作付けし、4千トンを生産する予定となっている。農家数は昨年の6・4倍、面積は9・3倍、生産量は10倍になる。

 初めてサキホコレを作付けする農家も多い。先行栽培を経験した農家のノウハウをいかに共有できるかが、高い品質や食味を保つ上で鍵となるだろう。

 そこで参考にしたいのが、市場評価や知名度の高い県外のブランド米産地の取り組みだ。ゆめぴりか(北海道)や新之助(新潟)の産地では、農家同士で栽培技術の研究や普及を図るための団体をつくり、米作りのレベルアップに努めている。

 本県でも先日、サキホコレ生産者協議会が設立された。農家が互いの経験や知識を持ち寄り、主体的に栽培研修を開くなどして切磋琢磨(せっさたくま)することが期待される。行政やJAも従来の営農指導に努めるだけでなく、模範となる農家に対する認定制度を取り入れるなど、取り組みを後押しする必要があるだろう。

 首都圏など大消費地での販売促進活動も極めて重要だ。先行販売では知名度不足が響き、県外では一部で値崩れが起きた。今年はメディアを通じた宣伝やイベントに合わせたキャンペーンを展開し、積極的な販売促進策に打って出るべきだ。

 消費者に向けたPRだけでなく、販売業界に関心を持ってもらうための取り組みも欠かせない。関係者を生産現場に招き、農家の意気込みやこだわりを生の声で聞いてもらうことで「米どころ秋田」への信頼や評価を高められるのではないか。

 サキホコレは秋田米を象徴する新たな「顔」だ。その評価は県産米全体の行方を左右する。高い販売価格を維持したまま生産を拡大していけるよう、栽培技術の水準や品質のばらつきをなくし、消費者に強く支持される流れをつくりたい。

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