社説:「避難民」受け入れ 国問わず支援の制度を

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 岸田文雄首相は紛争地からの「準難民」受け入れ制度創設の検討を明らかにした。人道的な見地から難民に準ずる形で受け入れる新たな仕組み。既存の制度では必要な保護、支援が難しいとすれば早急に見直さなくてはならない。

 政府の新制度検討はロシアのウクライナ侵攻を踏まえてのことだ。現在はウクライナから日本に逃れてきた人々に「避難民」として在留資格が付与され、ビザや身元保証人の免除、生活支援などが行われている。避難民は難民条約上の規定ではなく、支援は特例的な対応だ。

 ウクライナの国外避難者は500万人近くに達したという。当然のことながら近隣国への避難が多い。日本への避難民は500人を超え、戦火が長引けば逃れて来る人がさらに増える可能性がある。

 難民条約は人種、宗教、政治的意見などを理由に迫害される恐れがあるため、母国を離れた人を難民と定義する。日本をはじめ条約加入国は難民を保護する義務を負う。

 内戦や災害のため母国を脱出した人は広い意味で難民と呼ばれるが、条約上の難民には含まれない。日本では難民認定の要件が特に厳しく運用されているといわれる。

 日本では2020年に3936人が難民認定を申請し、出入国在留管理庁が審査して47人を認定。認定のハードルは極めて高いと言わざるを得ない。こうした現状に対して内外から「難民鎖国」との批判が強い。

 ウクライナの避難民受け入れが人道上必要であることに異論はないだろう。ただこれをウクライナに限定した支援にしてはならない。

 これまで他地域でも母国を脱出せざるを得なかった人々は少なくない。全ての国や地域の人々に等しく救いの手が伸べられるべきだ。

 政府は「準難民」制度の創設検討を、入管難民法改正と同時に進めたい考え。入管難民法そのものにさまざまな問題点が指摘されているためだ。

 名古屋出入国在留管理局の施設に長期収容されたスリランカ人女性が昨年3月に亡くなった問題は記憶に新しい。難民認定の厳しさに加え、収容長期化が課題として浮上した。入管難民法改正案は女性の死の真相究明を求める野党側の反発などで、成立が断念された経緯がある。

 さまざまな課題が指摘されている難民認定の在り方や現行の入管難民法は早急に改善を図らなくてはならない。同時に始まったばかりのウクライナ避難民の受け入れについて検証しつつ支援を充実させる必要がある。

 ウクライナに限らず、世界では内戦や紛争が絶えることがない。故国から遠く日本に逃れて来る避難民に対して、言葉の学習や就業などを手厚く支援できる体制構築を急ぎたい。「難民鎖国」などという汚名は一日も早く返上しなくてはならない。

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